明日の仕事が、すこし軽くなる60分。
緒方 伸也おがた しんや
SUICS合同会社 代表(佐賀県)
外資系投資会社 役員/Web制作/業務自動化支援
BtoC案件 125社以上 を担当
毎日AIと一緒に働く「1人会社」を運営中
エンジニアではありません。
「専門知識ゼロからAIを仕事の相棒にした実例」としてお話しします。
生成AIってなに? むずかしい話は抜きで
8分学校の仕事での活用事例 6選 今日の主役
20分「働くAI」— エージェントで毎日を自動化 活用事例10連発
15分安心して使うための 3つのルール
12分まとめ・質疑応答
5分帰るときに、「明日これを試してみよう」が1つ見つかっていれば大成功です。
むずかしい仕組みの話はしません。
「何ができる道具なのか」だけ、3分でつかみましょう。
🔍 これまでの検索
キーワードを入れると、
すでにあるページを「探して」くれる。
読む・選ぶ・まとめるのは自分。
💬 生成AI
日本語でお願いすると、
文章やアイデアを「作って」くれる。
下書き・要約・言い換え・アイデア出しが得意。
イメージは 「なんでも相談できる、もの知りな新人の先生」。
とても優秀。ただし、たまに自信満々に間違えます(後ほど詳しく)。
どれも無料プランから始められます(回数などに制限あり)。スマホアプリも。まずはどれか1つで十分です。
ChatGPT
OpenAI社。
いちばん有名。
迷ったらこれ。
Claude
Anthropic社。
自然で丁寧な
日本語の文章が得意。
Gemini
Google社。
Googleドキュメント等と
連携しやすい。
Copilot
Microsoft社。
Windowsに搭載。
※Word/Excel連携は
組織の契約による。
使い方はどれも同じ。LINEのように、話しかけるだけです。
小学校教諭の平日の在校等時間(平均)
10時間45分
授業の時間は変えられません。
でも、おたより・所見・事務文書など
「書く仕事」の時間は減らせます。
そこが、生成AIのいちばん得意な領域です。
出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」速報値。最新の数値は文科省の公表資料をご確認ください。
すべて「明日からそのまま真似できる」頼み方の例つきです。
「白紙から書き始める」時間がなくなります。30分の作業が5分に。
出てきた文章を先生のことばで直して仕上げるのがコツ。ゼロから書くより圧倒的に速い。
「導入どうしよう…」の悩みに、アイデアを何個でも出してくれる相棒。
板書計画の構成案
発問のバリエーション出し
単元計画のたたき台
「あと10問ほしい」「もう少し易しい問題を」が一瞬で叶います。
さらに便利な頼み方 ——
「同じ内容で難易度3段階の3枚に分けて」
→ 習熟度別プリントが数分で完成
「この単元のよくある間違いを使ったひっかけ問題を」
→ つまずきを狙った復習問題に
学期末の大仕事。※名前や個人情報は絶対に入れないのが鉄則(Part 4で詳しく)。
名前は渡さず、特徴だけをことばにして渡す。出てきた3案から選んで、先生が仕上げる。
「言いにくいこと」を丁寧に伝える文面づくりは、AIがいちばん頼れる場面です。
📄 お知らせ文書
行事案内・持ち物依頼・日程変更のお詫びなどの下書き
🤝 丁寧な言い換え
「もっと柔らかく」「怒らせない表現に」と頼める
🌏 多言語翻訳
外国につながる家庭向けに「やさしい日本語」や母語に翻訳
正解を出す道具ではなく、考えを整理する壁打ち相手としても優秀です。
🎉 「雨の日の教室レク、低学年向けに10個出して」
📚 「研究授業のテーマ、この3案の良い点と弱点を整理して」
🗣 「明日の学年会で伝えることを、3点に要約して」
💭 「このモヤモヤ、何が問題なのか一緒に整理して」
夜でも休日でも、何度聞いても嫌な顔をしない。気兼ねなく頼れるのがAIの良さです。
1
役割を与える
「あなたは小学校の先生です」と最初に伝えるだけで、答えの質が変わる。
2
具体的に頼む
学年・目的・文字数・文体。
新任の先生にお願いするときと同じ丁寧さで。
3
追加注文する
一発で完璧を求めない。
「もっと短く」「もっとやさしく」と会話で育てる。
今日いちばん持ち帰ってほしいスライドです。写真を撮ってください 📷
【 】を埋めるだけ。この型さえ覚えれば、今日の事例6つは全部再現できます。
この場で「来週のおたより」を一緒に作ります。
作ってほしいお題があれば、ぜひ声をかけてください。
ここからは一歩先の話。チャットで答えてくれるだけでなく、
パソコンの中の作業まで代わりにやってくれる「AIエージェント」を紹介します。
💬 チャットAI(ここまでの話)
聞けば、答えや文章を返してくれる。
できた文章を使うのは自分。
🤖 AIエージェント
頼めば、ファイル整理や資料作成などの作業そのものを代わりに進めてくれる。
代表例が、Claudeの 「Cowork(コワーク)」(デスクトップ・Web・スマホで展開中)。
フォルダを1つ任せると、その中のファイルを読んで・整理して・作ってくれます。
※ 2026年7月時点の情報です。ChatGPTなど各社も同様のエージェント機能を展開しています。
一度頼めば、決まった時刻に毎回自動で実行。「毎週やるのに毎週忘れる仕事」から解放されます。
今日の時間割・行事・提出物チェックの「朝のひとまとめメモ」を自動生成
来週の学級通信の雛形と週案の下書きを用意しておいてもらう
今月の記録から振り返りシートを自動でまとめる
頼み方の例:「毎週金曜の15時に、学級通信の雛形を作っておいて」— これだけ。
「デスクトップがぐちゃぐちゃ問題」は、エージェントのいちばん得意な仕事です。
📁 学期末のプリント・PDF整理と古いファイルのアーカイブ
🏷 数百枚の写真のフォルダ分け・リネームを数分で
🗂 「どこに保存したっけ?」を探して見つけてくれる
※ 児童の顔が写る写真の扱いは校内ルールを先に確認。まずは風景・掲示物・作品の写真から始めるのが安全です。
AIは画像の中の文字や内容も読めます。「紙のままの情報」をデータに変える入口です。
保護者アンケートの記入用紙を撮影 → 集計表と傾向まとめに変換
板書やノートの写真 → テキスト化して記録・共有
図工作品の写真フォルダ → 題名つきの一覧リストを自動作成
⚠️ 鉄則はここでも同じ:名前・顔が写ったもの、成績・答案は読ませない。無記名アンケートや自分のメモから始めましょう。
1つのフォルダに記録をためていくだけで、エージェントが「デジタル学年主任」になります。
📝 日誌・週案の下書き
今週のメモから自動でまとめて作成
✅ 提出物チェック表の管理
未提出の一覧と声かけリストを更新
🎪 行事準備のタスク分解
やること一覧→担当・期限つきの段取り表に
📊 学級の記録の見える化
たまったメモから月次の振り返りを生成
ポイントは「記録を1か所にためる」こと。あとはAIが読んで、まとめて、整えてくれます。
今日は名前だけ紹介します。詳しい頼み方は巻末付録に収録してあるので、あとでゆっくりどうぞ。
05 週案・時数の見張り番
進度の遅れを毎週月曜に自動報告
06 プリント資産化
過去プリントを整理して探せる財産に
07 出欠・アンケート集計
集計〜お礼文まで一気通貫
08 所見バッチ処理
日々の記録から学期末に一括下書き
09 学級通信の自動組み立て
毎週金曜、素材集めから自動で
10 引き継ぎ資料メーカー
1年の記録が「学級の取扱説明書」に
共通点はひとつ。日々の記録をためている人ほど、強力になるということです。
1
小さく始める
まずは「仕事用フォルダを1つ」だけ任せる。いきなり全部を渡さない。
2
結果を必ず確認
整理・作成の結果は自分の目でチェック。大事なファイルはバックアップしてから。
3
ルールを確認
学校のパソコンへの導入は、自治体・学校の方針を確認してから。まずは私物PCの私的な作業で練習を。
個人情報の鉄則は、チャットでもエージェントでもまったく同じです。→ 次のパートで詳しく。
便利さの前に、まずはこの3つを押さえてください。
著作権・校務データの扱い・児童利用の同意などは、自治体・学校の方針もあわせて確認を。
✕ 入れてはいけないもの
児童・保護者の氏名
顔写真・成績・テストの答案
健康状態・家庭の事情
学校の内部文書そのもの
◯ 代わりにこうする
名前 → 「ある児童」
成績 → 「計算が得意」など特徴のことば
固有の事情 → 一般的な状況に言い換える
入力した内容は学校の外のサーバーに送られます。「校門の外で話せないことは、AIにも話さない」と覚えてください。
AIは「本当のこと」ではなく
「それらしい文章」を作る仕組み。
存在しない事実・数字・出来事を、
堂々と作り出すことがあります。
(ハルシネーション=AIの思い込み)
とくに気をつけるもの:
・歴史の年号、人物のエピソード
・統計の数字、法律やルール
・URLや本のタイトル
・計算(意外と間違えます)
下書きはAI、事実確認と仕上げは先生。
AIの文章をそのまま配らない。必ず先生の目と手で仕上げる。責任は道具ではなく使う人にあります。
文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」と、お勤めの自治体・学校のルールを必ず確認する。
多くのAIサービスには年齢制限があります(例:13歳以上、18歳未満は保護者同意など)。児童に使わせる前に、必ず各サービスの最新の利用規約と学校の方針を確認。
※ ガイドラインは文部科学省Webサイトで「生成AI ガイドライン」と検索。年齢制限は各サービスの最新の利用規約をご確認ください。
人が毎日を記録し、AIがその記録を元に提案する——これがいま主流になりつつある使い方です。
🧠 人間の記憶
忘れます。思い出せません。
積み上げるのは正直、無理があります。
(それが普通です)
📓 記録 × AI
過去の記録を繋ぎ合わせて提案し、
あなたの状況を把握した上で答えてくれる。
ただし、記録がなければ何もできません。
・学級の気づきの記録 → 所見・面談・振り返りが半分の時間で
・授業のメモ → 来年の授業案のたたき台に
・うまくいった声かけの記録 → あなたと学校の資産に ※児童名は書かない(イニシャルも積み重なると特定につながるため、役割や記号で)
日記帳もアプリ選びも要りません。1日の終わりに、AIに向かって今日を話すだけです。
① 話す
1日5分。話しことばのままでOK。きれいに書こうとしない。
② たまる
AIがファイルにして、決めたフォルダに日付つきで整理・保存。
③ 返ってくる
たまった日記をAIが読んで分析し、次のタスクやアドバイスを提案してくれる。
※ .md=メモ帳でも開ける軽いテキストファイル。Part 3のエージェント(Cowork等)なら保存・読み込みまで自動。児童名は書かないのが鉄則です(Part 4参照)。
スマホに無料アプリを1つ入れる今日の帰り道に3分
来週のおたよりを1本だけ、AIと一緒に書いてみる「魔法の型」で
今日から「仕事の日記」を1行つけるAIに渡せる資産づくり
完璧に使いこなす必要はありません。
「ちょっと楽になった」と「今日の1行」の積み重ねが、子どもと向き合う時間を生み出します。
記録する人のAIは、日ごとに賢くなります。
あなたの毎日の1行が、未来の提案の材料になり、
やがてより良い教育を生み出します。
「こんな作業もAIでできる?」という素朴な疑問こそ大歓迎です。
SUICS合同会社 緒方 伸也
suics.jp
本編で名前だけ紹介した6事例の詳細版(頼み方プロンプト付き)。
講座後の配布資料としてお使いください。
「時数が足りない!」に学期末に気づくのではなく、毎週月曜の朝に気づけるようにします。
先生がやることは、週の終わりに「どこまで進んだか」を記録しておくだけ。
進度の遅れは、早く気づくほど小さな手当てで済みます。
毎年ゼロから作り直すのは、もう終わりにできます。散らかったフォルダを「探せる資産」に変えます。
整理が済めば、あとはこう頼むだけ ——
「3年の割り算の復習プリントを探して、少し易しくして再利用したい」
ベテランの先生の蓄積が、個人の引き出しから学校の財産になります。
「集める → 数える → 催促する → 報告する」。4つの工程を、1回の依頼にまとめます。
エージェントは「1つの作業」ではなく、「一連の流れ」ごと任せられるのが強みです。
※ 記名データを扱うときは、校内・自治体のルールの範囲で。迷ったら無記名集計から始めましょう。
日々の気づきメモをためておくと、学期末にまとめて回収できます。※児童名は書かず、校内ルールに沿って記号化を(対応表は学校の中だけに)。
学期末の数日仕事が、ぐっと短い「選んで整える」仕事に変わります。
「エピソードが少ない児童リスト」は、残りの学期でその子をよく見るきっかけにもなります。
Use 01(ルーティン予約)の発展形。下書きだけでなく、素材集めから任せます。
金曜の放課後にやるのは、候補から選んで、先生のことばで整えるだけ。
「何を書こう…」と白紙の前で悩む時間がなくなります。
1年間の記録の、いちばん大きな回収ポイントです。
4月の新しい担任が最初の1週間で読める「学級の取扱説明書」が、記録から自動で生まれます。
あなたの1年が、次の先生と子どもたちへの贈り物になります。