お盆の実家で見た、月12分しか使われていない“かけ放題”
お盆に佐賀の実家へ帰ったとき、父に「スマホ代が高い気がする」と相談された。明細を一緒に見ると、通話かけ放題のオプションが付いていた。ところが通話履歴をさかのぼると、先月の通話は合計12分。父いわく「昔は長電話で料金が跳ね上がったから、入っておいた」。使い方はとっくに変わっていたのに、課金の理由だけが昔のまま残っていた。その場でプランを変えて、月2,000円ほど下がった。
その1週間ほど前、OpenAIがChatGPTのモデル構成の更新を発表していた。2026年8月6日、有料のPlus/Proプランには改良版の「GPT-5.6 Sol」を展開し、無料プランとGoプランには新しい標準モデル「GPT-5.6 Luna」を配布。そして無料でもテキストチャットが無制限になった。「無料だと回数制限があるから課金する」という、これまで一番多かった課金の理由が、父のかけ放題と同じように過去のものになった瞬間だった。
さらに期限がひとつ迫っている。旧モデルのo3が、90日の移行期間を終えて8月26日、今週水曜日にChatGPTでの提供を終了する。今日は、AIで会社の業務を回しているSUICSの実体験から、課金をやめていい人・続けるべき人の3つの見分け方を書く。判断にかかる時間は、父のスマホプラン見直しと同じで15分もあれば足りる。
8月6日に何が変わったか。課金の判断軸が「回数」から「機能」へ
まず、今回の構成変更を整理する。押さえるのは3行だけでいい。
1年前の課金判断は「月に何回使うか」だった。回数が多いなら有料、少ないなら無料。シンプルだった。それが今回の変更で、無料でも文字のやりとりは回数を気にせず使えるようになった。つまりこれからの課金判断は、「何回使うか」ではなく「どの機能を使うか」で決まる。画像生成、ファイルの分析、エージェント機能、長い文脈の保持——こうした機能に値段が付く時代に切り替わった。
ひとつ注意しておくと、無制限になったのはあくまでテキストチャットだ。画像の生成、ファイルのアップロードと分析、音声まわりには、無料プランでは引き続き上限がある。だから「無料で全部できるようになった」と読むのは早い。正しくは「文字の仕事はタダになり、それ以外の機能が課金の本体になった」。この線の引き方が、このあとの3つの見分け方の土台になる。
この切り替わりは、8月21日の値下げ発表と地続きの流れだ。値下げ競争の背景は昨日の記事 「ChatGPTが“値下げ競争”へ|個人事業主がAI課金を見直す3つのチェック」 に書いた。昨日が「見直しの習慣」の話だとすれば、今日は「やめるか続けるか」を実際に判定する話になる。
課金をやめていい人・続けるべき人、3つの見分け方
SUICSでは月に一度、自社で契約しているAIの棚卸しをしている。そのときに使っている判定基準を、ChatGPTの今回の変更に合わせて3つに整理した。上から順に確かめれば、自分がどちら側かが分かる。
課金の理由を「機能の名前」で
言えるかどうかだ。
やめたお金の行き先まで決めて、はじめて見直しは完了する
課金をやめる判断をした人に、ひとつだけ付け加えたい。課金をやめることと、AIをやめることは違う。テキストの仕事を無料版に移して浮いた予算は、そのまま消すのではなく「次の1本」の枠として取っておくと、AIの使い方が一段深くなる。画像生成に特化したツールかもしれないし、エージェント機能かもしれないし、しばらく何も足さない判断でもいい。
選び直すときの考え方は、過去記事に2本まとめてある。最初の1本の選び方は 「AIに“月700円プラン”が続々登場|最初に課金すべき1本の選び方3条件」、上位モデルに頼らない設計は 「中位モデルで9割の仕事を回す課金設計3つ」 が参考になるはずだ。
SUICSは、Claudeの業務環境「Cowork」で会社の実務を回しながら、毎月この棚卸しを自分たちでやっている。だからこそ言えるのは、AIの料金体系は3ヶ月おきに前提が変わるということ。8月6日の無制限化も、8月21日の値下げも、次の四半期にはまた別の変更に上書きされる。そのたびに慌てないための道具が、今日の3つの見分け方だ。
まとめ:水曜日が来る前に、15分だけ財布とフローを見る
最後に、今日の内容を1枚にまとめる。8月6日の構成変更で、ChatGPT無料版はテキスト無制限になり、課金の判断軸は「回数」から「機能」へ移った。見分け方は3つ。先月の履歴が文字のやりとりだけなら、やめていい。課金の理由を機能の名前で2つ言えるなら、続けるべき。そしてo3で組んだ流れがある人は、やめる・続けるにかかわらず、8月26日の提供終了までに動作確認をする。
父のスマホプランは、見直しに15分かかった。12分しか使わないかけ放題に、父は何年も払い続けていた。AIの課金は、スマホよりずっと速いペースで前提が変わる。だからこそ、判定の物差しを手元に置いておく価値がある。水曜日が来る前の15分が、来月からの固定費と、静かに質が変わるはずだった業務フローの両方を守ってくれる。