日曜の夕方、Zoomの画面共有で「一番回った動画」が一番DMを生んでいなかった
9月6日、日曜の夕方。構築中の整体院のオーナーとZoomをつないで、先月のリールを一緒に振り返っていた。画面共有で出てきたのは、再生数の多い順に並べたリールの一覧。一番上は「肩こりが一瞬で楽になるストレッチ」で、再生数は他の動画の6倍。オーナーは「これが当たりだから、この路線で増やしたい」と言った。
そこで、ManyChat(Instagramのコメントに反応して自動でDMを送る道具)の画面を横に並べた。先月、コメント欄に合言葉を書いた人へ自動でDMを送った回数を、投稿ごとに出したものだ。一番回ったストレッチ動画から届いたDMは3通。いっぽう、再生数が6分の1の「初回の来院で最初に聞く3つのこと」という動画からは、27通のDMが届いていた。オーナーは少し黙ってから、「見られてる動画と、来る動画は違うんですね」と言った。
この「違う」を数字で見せるのに、これまでは2つのアプリを行ったり来たりしていた。それが8月19日、Instagram公式の編集アプリ「Edits」に、リールを3本まで横に並べて数字を見比べる機能が入った。並べるだけなら誰でもできる。問題は、何を並べて、どの数字を見るかだ。今日は、Editsの新機能で何ができるようになったかを事実の範囲でそろえたうえで、「再生数が多いのにDMが来ない動画」を見分け、次の1本を決めるまでの3ステップを書いていく。
何が変わったか——Editsで「リール3本を横に並べる」「見ている人の活動時間を見る」ができるようになった
まず事実を、Instagram公式のクリエイター向けブログ(2026年8月19日付)の範囲でそろえる。Editsは、Instagramが出している動画編集アプリで、iPhone版とAndroid版がある。今回のアップデートで、次の3つが加わった。
1つ目は、リールの比較。Editsの「Insights」(インサイト=自分の投稿の数字を見る画面)にある「Compare」を押すと、自分のリールを3本まで選んで、再生数・視聴時間・フォローされた数・反応(いいねやコメントなど)を横に並べて見られる。2つ目は、見ている人の情報。同じInsightsの「Audience」(オーディエンス=見ている人)という画面で、フォロワーがどこに住んでいて、何に興味があり、何時ごろInstagramを開いているかが分かる。この数字はPDFとして書き出せる。3つ目は、ひらめきを探す画面に検索が付いたことで、今日の話とは直接関係しないので省く。
ここで注意しておきたいのは、比較の画面に「DMが何通来たか」は無いということだ。Instagramが見せてくれるのは、再生・視聴時間・フォロー・反応まで。店にとって一番知りたい「この動画から予約や問い合わせにつながったか」は、Edits単体では分からない。だから、Editsの数字の横に、ManyChat側の数字を自分で1行足す必要がある。この「1行足す」が、今日の3ステップの中身になる。
「DMを生んだ1本」を見つける、3つのステップ
順番は、Editsで並べる→ManyChatの数字を足す→次の1本の時刻を決める、の3つだ。1回やれば30分ほどで終わる。
お客さんが来た動画は、
同じとは限らない。
今週やること——先月の3本を並べて、DMの数を1行書き足す
やることは3つで、合計30分ほどで終わる。1つ目は、Editsをアプリの店で最新にしてから開き、Insightsの中のCompareで、先月出したリールのうち、同じ合言葉を置いた3本を選ぶ。合言葉を置いた動画が3本ない場合は、まずそこからで、今月は合言葉付きの動画を3本出すことが最初の仕事になる。2つ目は、ManyChatの画面で、その3本それぞれからDMが何通届いたかを数える。設定が1つにまとまっていて分からない場合は、今月から投稿ごとに合言葉を分ける。3つ目は、Audienceの画面で活動時間を見て、次の1本を出す時刻と、店主がコメントに返事をする15分をカレンダーに入れる。
数字を書き足すメモは、次のような1行で足りる。
大事なのは、このメモを「再生数が少ない動画は失敗」と読まないことだ。「リールはDMで送られた数がいいねの3〜5倍」 で書いたとおり、Instagramの側でも、いいねより「誰かに送られたか」のほうが重く見られるようになっている。店にとっての当たりは、たくさんの人に届いた動画ではなく、来る人に届いた動画だ。Cの型が分かったら、次の1本はCの内容を少し変えて出す。「初回に聞く3つのこと」の次は「2回目に多い質問3つ」。同じ人に向けて、同じ合言葉で、同じ時刻に出す。これを3か月続けると、再生数は派手に伸びないが、DMの数は毎月少しずつ増えていく。冒頭の整体院は、この日、ストレッチ動画の路線をいったん止めて、Cの型で来月の4本を決めた。
最後に:Instagramが見せてくれる数字と、店が見るべき数字は1行ずれている
Editsの比較機能は、これまで自分で表を作らないと見られなかったものを、公式のアプリが並べてくれるようになった、という意味で大きい。ただ、その表には「DMの数」が無い。Instagramにとっての大事な数字と、店にとっての大事な数字は、1行ずれている。そのずれを埋めるのは、ManyChat側で投稿ごとに合言葉を分けて、自分で1行足す、という地味な作業だ。
Zoomの画面共有で、オーナーが「見られてる動画と、来る動画は違う」と言ったとき、その場で決まったのは動画の路線だけではなかった。次に何を撮るか、いつ出すか、誰が返すか。この3つが、1枚の表から決まった。今週、先月の3本を並べて、DMの数を1行足してみてほしい。一番回っていない動画が、一番お客さんを連れてきていた、ということは、思っているより多い。