Notes / Instagram

ManyChatがDMで“PDFを直接手渡し”できる時代へ。
リンク配布をやめて予約につなげる3設計

2026.09.06

土曜の朝、スマホの「ファイル」アプリに、開いていない特典PDFが19個あった

9月5日、土曜の朝。駅前のカフェで、スマホの空き容量が足りないという表示が出たので「ファイル」アプリを開いて整理を始めた。ダウンロードフォルダの中に、PDFが並んでいた。「初回限定クーポン.pdf」「セルフケア5つのチェックリスト.pdf」「秋メニュー表.pdf」「無料相談の流れ.pdf」。数えたら19個。どれも、この半年でInstagramのコメント欄に合言葉を書いて、届いたDMのリンクを踏んで、ドライブの画面からダウンロードしたものだった。

開いた記憶があるのは3個だった。残りの16個は、リンクを踏んでドライブのプレビューが開き、「ダウンロード」を押したところで満足して、そのまま閉じている。そして19個のうち、その後お店に行ったのは1軒だけだった。自分は仕事柄、他人の自動DMを片っ端から受け取っているので極端な例ではあるが、受け取る側の動きとしては珍しくない。特典は届いている。ただ、届いた先が「スマホの奥のフォルダ」で、届いたあとに何も起きていない。

同じ週、ManyChatのFlow BuilderにPDFを直接添付するブロックが使えるようになっていることを、あらためて構築中のお客さんの画面で確認した。リンクを踏ませず、DMの中でそのままPDFが開く。これは配布の手間が減る話ではなく、「16個の開かれないPDF」を作り続けるか、それとも受け取った人が次に動く設計に組み替えるかの分かれ道だと思った。今日は、この機能で何が変わるかを整理したうえで、リンク配布からPDF直送へ組み替えるときの3つの設計を書いていく。

何が変わったか——「リンクを渡す」から「ファイルそのものを渡す」へ

まず事実を、ManyChatの公式発表とヘルプの範囲でそろえる。Instagram DMがファイル添付に対応したことを受けて、ManyChatのFlow Builderに、PDFをそのままDMに添付できるコンテンツブロックが加わった。コメント、DMのキーワード、ストーリーズへの返信、フォローといった既存のトリガーから、リンクを経由せずにPDFを送れる。受け取った側はInstagramのDM画面の中でプレビューして開ける。容量にはMeta側の仕様による上限があり、25MB前後と案内されているので、写真を多く載せたメニュー表は軽くしてから使うほうがいい。細かい仕様は変わる可能性があるので、使う前に公式ヘルプで確認したほうがいい。

これまでの特典配布は「ドライブやLPのリンクをDMに貼る」が定番だった。この方式には3つの離脱があった。1つ目は、リンクが踏まれないこと。Instagramは外部リンクを開く前に確認画面を挟むし、知らない店からのリンクは踏まない人が一定数いる。2つ目は、怪しまれること。DMにURLが並ぶと、それだけで詐欺の文面と見分けがつきにくい。3つ目は、外に出て戻らないこと。ブラウザに飛んだ人は、Instagramに戻ってこない。「プロフのリンクはもう踏まれない」 で書いた話が、DMの中でも同じように起きていた。

PDF直送は、この3つをまとめて消す。踏むリンクがなく、URLが並ばず、Instagramの外に出ない。ここまでは機能の話で、使えばそのまま手に入る。ただ、125社の構築で見てきた限り、配布が楽になるほど「渡して終わり」が増える。冒頭の16個がそれだ。受け取った人がPDFを開いた瞬間、店との会話は一度終わる。その先に予約や来店が起きるかどうかは、機能ではなく設計で決まる。

リンク配布をやめて予約につなげる、3つの設計

組み替えるときに見るのは、PDFの中身、PDFの前後、そして今あるリンク配布のどれを置き換えるかの3か所だ。順番に書く。

Design 01
PDFの1ページ目に「次にやること」を書く——チラシではなく、持ち歩ける案内係にする
最初に直すのはPDFの中身だ。多くの店の特典PDFは、店頭のチラシをそのままPDFにしたもので、1ページ目が表紙、最後のページに電話番号とInstagramのアカウント名が載っている。これだとスマホで開いた人は表紙を見て閉じる。DMで直接届くPDFは、開かれる場所がInstagramのDM画面の中なので、1ページ目に「このPDFを読み終えたら、このDMに『予約』と返信してください。空き枠を送ります」と書いておく。次にやることを、PDFの一番最初に、1行で置く。最後のページには、店の場所と営業時間と、同じ1行をもう一度置く。PDFの中にリンクを貼っても踏まれにくいので、行動の指示は「DMに一言返す」に寄せる。整体院なら「セルフケア5つのチェックリスト」の1ページ目に「3つ以上当てはまったら『チェック』と返信」、飲食店なら「秋メニュー表」の1ページ目に「気になる料理の番号を返信」。こうすると、PDFを開いた人の一部が、自分からDMを返してくる。これは受け取って終わりだったPDFが、会話を再開させる案内係に変わるということだ。
1ページ目
次にやることを1行で
行動の形
リンクではなく「返信」
最終ページ
場所・時間・同じ1行
Design 02
PDFの前に1問、PDFの後に1通——24時間の窓が閉じる前に、次の会話の入口を置く
2つ目はPDFの前後だ。PDF直送は「合言葉が来たら即PDF」と組みたくなるが、それだと受け取った人のことが何も分からないまま渡すことになる。渡す前に1問だけ挟む。整体院なら「今いちばん気になるのは、肩・腰・膝のどれですか」、美容室なら「次の来店は、1か月以内・2か月以内・未定のどれですか」。ボタンで答えられる形にして、答えに応じたタグをManyChat側で付けてからPDFを送る。1問あるだけで、あとで「腰」と答えた人だけに腰のキャンペーンを送れるようになる。そしてPDFを送った直後に、もう1通だけ送る。「届きましたか。読み終えたら『読んだ』と返してもらえると、あなた向けの空き枠をお送りします」。ここで大事なのは、「Instagram自動DMが1人24時間1通制限に」 で書いた24時間の窓だ。お客さんが返信してから24時間を過ぎると、店からは自動で送れなくなる。3日後に「その後いかがですか」と自動で送る設計は、窓が閉じていて届かない。だから追いかけるのではなく、PDFの直後の1通で「返信してもらう理由」を置き、返信が来たら窓が開き直る、という順番にする。返信してくれた人には空き枠を、返信がなかった人にはストーリーズで、と分けておくと、追いかけDMを送れない制約の中でも次の会話が途切れない。
PDFの前
ボタンで答える1問+タグ
PDFの後
返信したくなる1通
やらない
3日後の追いかけ自動DM
Design 03
全部をPDFにしない——「読むだけのもの」はPDF、「外で完結するもの」はリンクのまま残す
3つ目は、今あるリンク配布のどれを置き換えるかだ。新しい機能が来ると、DMのリンクを全部PDFに変えたくなるが、それは違う。分け方は1つで、「受け取った人がその場で読んで終わるもの」はPDFに、「受け取った人がそこで何かを完了させるもの」はリンクのまま残す。メニュー表、料金表、チェックリスト、来店前の流れ、クーポンの画像。これは読むものなのでPDFにする。予約フォーム、オンライン決済、LINE登録、アンケート。これは外で完了させる必要があるので、リンクのままにする。ただしリンクを送るのは、Design 02の返信が来たあと、つまり相手が自分から一言返してきたあとにする。会話が始まってからのリンクは、いきなり届くリンクより格段に踏まれる。置き換えるときは、ManyChat側で「PDF受け取り済み」のタグを必ず付けておく。「フォロワー1000人より価値あるDMリスト100人」 で書いたとおり、店の資産はフォロワー数ではなく、タグの付いたDMリストだ。PDFを受け取った人、返信した人、予約した人。この3段のタグが残っていれば、次のキャンペーンのときに「PDFは受け取ったが返信はなかった人」だけにストーリーズで声をかける、という動きができる。
PDFにする
メニュー・料金・チェックリスト
リンクのまま
予約・決済・LINE登録
必ず残す
受取・返信・予約の3段タグ
リンクが消えて楽になった分だけ、
「渡したあと」を
設計する時間に回す。
Link to PDF Redesign Map
リンク配布とPDF直送——受け取った人の動きの違い
BEFORE — リンク配布 コメント 合言葉 DMにURL ドライブのリンク 外部ブラウザ Instagramの外へ 保存して終了 19個中16個 離脱① 踏まれない 離脱② 怪しまれる / ③ 戻らない AFTER — PDF直送 + 1問 + 1通 コメント 合言葉 DESIGN 02 1問(ボタン) 答えでタグ付け DESIGN 01 PDFをDM内で 1ページ目に次の行動 DESIGN 02 直後の1通 「読んだ」と返信 返信 窓が開き直る 返信あり → 空き枠・予約リンク Design 03:外で完結するものはここで 返信なし → 追いかけDMは送れない 「受取済・返信なし」タグへ → 次はストーリーズで声をかける KEEP AS LINK 予約フォーム / オンライン決済 / LINE登録 / アンケート(外で完了させるものは、返信が来てからリンクで)

今週やること——今のDMフローのリンクを数えて、1本だけPDFに置き換える

やることは3つで、合計1時間ほどで終わる。1つ目は、ManyChatの今のフローを開いて、DMに貼っているリンクを数える。うちの場合は特典の受け取りリンク、メニュー表、予約フォーム、LINE登録の4本だった。それぞれに「読むだけ」か「外で完了させる」かの印を付ける。2つ目は、「読むだけ」の中から、いちばん送っている回数が多い1本を選び、PDFにする。既存のチラシPDFがあるなら、1ページ目だけを作り直して、次にやることの1行を入れる。3つ目は、そのPDFの前に1問、後に1通を足して、タグを3段で付ける設定を入れる。全部を一気に変えないほうがいい。1本を1週間動かして、返信の数を見てから、2本目に進む。

1ページ目に置く1行は、店ごとに変わるが、形は次のようなもので十分だ。

【セルフケア5つのチェックリスト】 読み終えたら、このDMに「チェック」と返信してください。 当てはまった数に合わせて、あなた向けの空き枠をお送りします。 (3つ以上当てはまった方は、早めのご来店をおすすめしています)

「返信してください」の理由を、必ず1つ添える。理由がないと返信は来ない。「空き枠を送る」「あなた向けの順番で案内する」「番号を送ると詳しい写真を返す」。相手が返すことで相手が得をする形にしておくと、返信は自然に増える。そして返信が来たとき、その先は「Share to DM解禁」 で書いた分岐と同じで、答えに応じてタグを分け、人が返すべきところは人が返す。自動で渡すのはPDFまで、予約の最後のひと押しは店主の言葉で、という線引きが、125社の中でいちばん予約に結びついていた。

SUICS Service — ManyChat 構築
リンク配布からPDF直送への組み替えを、動線ごと設計します。
解決できる悩み:「特典のリンクを送っているのに、その後の予約や来店につながっていない」「ドライブのリンクが踏まれているのか分からない」「メニュー表や料金表をDMで渡したいが、どこまで自動化していいか判断できない」「PDFを送ったあとの追いかけ方が分からず、24時間制限で止まっている」「フォロワーは増えているのに、タグの付いたDMリストがない」。今のフローの棚卸し→PDFにするもの・リンクに残すものの仕分け→1ページ目の設計→前後の1問1通とタグの3段設計まで、125社の現場で作ってきた型でお手伝いします。
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最後に:配布が楽になるほど、「渡したあと」が店の差になる

カフェで見つけた19個のPDFは、どれも作った人が時間をかけたものだった。チェックリストの項目を考え、メニューの写真を撮り、デザインを整えてPDFにして、ManyChatに組んで配っている。その手間が、スマホの奥のフォルダで止まっている。PDF直送は、この配る部分の手間と離脱を消してくれる。ただ、消えた分の時間をどこに回すかは、店主が決めることだ。

1ページ目の1行、前の1問、後の1通、3段のタグ。どれも大きな作業ではない。ただ、この4つがあるかないかで、PDFは「保存されて終わるチラシ」にも「会話を再開させる案内係」にもなる。今週、フローのリンクを数えて、1本だけ置き換えてみてほしい。返信が1通でも返ってきたら、その相手は、フォルダの奥ではなく、あなたのDMの中にいる。

特典を「渡したあと」、次の会話は設計できていますか

「特典リンクを送っているのに、予約につながらない」
「メニュー表をDMで渡したいが、どこまで自動でいいか分からない」
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