火曜の朝、10年近く開いてきた画面に「Instagram」が並んでいた
火曜の朝、コーヒーを淹れてSearch Consoleを開いた。suics.jp がどんなキーワードで拾われているかを眺めるのが、ここ数年の朝の習慣になっている。順位が落ちていれば原因を探すし、思わぬ言葉で人が来ていれば次の記事のネタにする。その日も、同じつもりだった。
プロパティ選択のドロップダウンを開いた瞬間、手が止まった。見慣れたドメインの一覧の下に、「Instagram」「TikTok」「X」「YouTube」の4つが並んでいる。Search Consoleは「自分のサイトを持っている人が、自分のドメインを登録して使う道具」——10年近くそう思って開いてきた画面に、ドメインを1つも持っていない人でも登録できる入口ができていた。
Googleが2026年7月7日に追加した「プラットフォームプロパティ(platform properties)」という新しいプロパティ種別だ。対象はInstagram・TikTok・X・YouTubeの4つ。Search Consoleの歴史のなかで、ドメインの所有を証明せずに認証できるプロパティは、これが初めてになる。
このブログでは7月4日に「Instagram投稿がGoogle検索に出る時代へ」を書いた。あれは出す側——キャプションをどう設計するか、の話だった。今回は測る側が揃った。今日は、ManyChat125社の構築で「Instagram → コメント → 自動DM」の動線を作り続けてきた立場から、登録の手順と、多くの人が読み違えそうな3点を書いておきたい。
ドメインを持たない店舗でも、検索キーワードが読める
これまでのSearch Consoleが答えてくれたのは「自分のサイトが、どんな検索語で何回表示され、何回クリックされたか」。今回のプラットフォームプロパティは、その同じレポート基盤を、Instagramアカウントに向けたものだと考えると分かりやすい。
見られるレポートは2種類。パフォーマンスレポートでは、クリック数・表示回数・平均CTR(クリック率)・平均掲載順位を確認でき、どの投稿が検索から人を連れてきているかを投稿単位で絞り込める。対象はGoogle検索だけでなく、Discover(スマホのGoogleアプリに流れてくるおすすめ欄)とGoogleニュースも含む。インサイトレポートでは、直近の流入傾向・上位投稿・自分のアカウントがGoogleでどう見つかっているかを俯瞰できる。
地方の店舗にとって効いてくるのは「検索語」と「平均掲載順位」の2つだと思っている。「佐賀 整体 骨盤」で自分の投稿が何位に出ているのか。そもそも出ているのか。これまで推測でしかなかったものが、実測になる。
登録から改善まで、3ステップ
やることは多くない。今日必要なのは、実質1ステップ目だけだ。
ここを間違えると、数字を読み違える
便利な機能ほど、誤解したまま使うと判断を歪める。事前に押さえておきたい点が3つある。
1つめ。これは「Instagramの中の数字」ではない。 プラットフォームプロパティが見せるのは、あくまでGoogle検索側の成績だけだ。Instagramアプリの中でリーチした数、発見タブから見られた数は、これまで通りInstagramのインサイトの管轄になる。2つは別々のものを数えているので、足し算もできない。Search Consoleの数字が小さくても、Instagram内で伸びていないという意味にはならない。逆もまた同じだ。
2つめ。登録前には遡らない。 Googleのヘルプは、プロパティを設定する前のデータは見られない、と案内している。パフォーマンスの履歴は認証した瞬間から始まる。つまり登録が1週間遅れれば、その1週間分は、あとからどんな手段を使っても取り返せない。ツールの検討に1ヶ月かけると、1ヶ月分のデータが存在しないまま検討が終わる、という笑えない事態になる。今日登録して、あとは放置するのがいちばん安い。
3つめ。認証は切れることがある。 認可は定期的に確認される仕組みで、接続や認証情報が切れると、再認証するまでデータの取得が止まる。ただし再認証すれば過去分はすぐに戻り、新規登録時のようにゼロから溜め直しにはならない。四半期に1度、開いて生きているか確認する程度の運用で足りる。
その1週間分の検索データは
あとから取り返せない。
計測できなかった手前の区間が埋まった
「入口が何人で、何%が資産になったか」が言えるようになる
SUICSがManyChatで作ってきたのは「Instagram → コメント → 自動DM → リスト化」の動線だ。ここまでは、コメント数もDM送信数もリスト数もManyChat側で数えられた。数えられなかったのは、そのいちばん手前——検索からどれだけの人が投稿にたどり着いたのか、という区間だった。
入口の実数が分からないまま「今月コメントが30件付きました」と報告しても、それが良い数字なのかは判断できない。表示回数1,000回で30件なのか、100回で30件なのかで、次に打つ手はまるで違う。前者はキャプションの問題(発見はされている、刺さっていない)。後者は検索露出そのものの問題(そもそも見つかっていない)。同じ「コメント30件」でも、直す場所が正反対になる。
7月7日以降、この手前が測れるようになった。検索表示 → クリック → コメント → 自動DM → リスト。全区間が数字で並ぶので、どこで人が落ちているかが、体感ではなく歩留まりで見える。AI検索側の露出をどう取るかは 「ChatGPTに『うちの店』を推薦させる方法」 記事、コメントから自動DMへの動線設計は 「『プロフのリンク』はもう踏まれない」 記事も参照してほしい。
今日やることは、ひとつだけ
この記事で伝えたいことは、実のところ1行に収まる。Search Consoleを開いて、Instagramを登録する。それだけだ。
分析も改善も、データが溜まってからの話で、それは28日後にやればいい。今日必要なのは5分の登録作業と、あとは放置する判断だけ。何もしない期間に、勝手にデータが積み上がっていく。
逆に言えば、今日登録しなかった分の検索データは、この先どんなツールを入れても復元できない。7月4日の記事で「出す側」の設計を書いた(Instagram投稿がGoogle検索に出る時代へ)。今日で「測る側」が揃った。あとは28日後に、自分のアカウントに何が起きていたかを、推測ではなく数字で読むだけになる。その28日を、いつから始めるかという話でしかない。