土曜の朝、佐賀県内の整骨院オーナーとの画面共有を閉じたところで、この記事を書いている
土曜の朝9時。佐賀県内で整骨院を営むオーナーと、パソコンの画面越しに向き合っていた。話していたのは、来月から本格的に始めるInstagramの運用について。開院から半年、施術中の写真を月に4〜5回投稿してきたそうだが、フォロワーは120人ほどで止まっていた。何より、DMで「予約したい」という連絡が来たことは、まだ一度もなかった。
この記事で書くのは、整骨院・接骨院がInstagramを使って来院予約につなげるとき、最初の90日で何をすればいいかだ。ManyChat(マンチャット、Instagramの自動返信を組む仕組み)の構築を125社で重ねてきたSUICSが、実際に見てきた整骨院の現場をもとに、順番を決めて説明する。結論を先に言うと、最初にやるべきことは「投稿を増やすこと」ではない。フォロワーの数を追いかける前に、来院につながる小さな仕組みを1つだけ作ることだ。
そのオーナーが困っていたのは、投稿の中身ではなかった。「何を撮るか」はある程度決まっていたし、写真も丁寧に撮れていた。足りなかったのは、その投稿を見た人が「じゃあ予約してみよう」と思ったときに、迷わず進める入り口だった。プロフィール欄には電話番号が書いてあったが、それだけだった。
施術の合間に投稿を考える時間はほとんどないという話も、その場で聞いた。整骨院の1日は、予約と予約の間が数分しか空かないことも多く、SNSにまとまった時間を割くのは現実的ではない。だからこそ、この記事で説明する90日は、毎日長い時間をかける前提では組んでいない。1日にかける時間は10分から15分ほどを目安にし、その代わりに「何をやるか」を先に決めておくことで、考える時間そのものを減らす設計にしている。
フォロワーの数より先に、決めておくこと
整骨院のInstagramで最初につまずきやすいのは、「フォロワーを増やすこと」を目標にしてしまう点だ。フォロワーが増えても、その人たちが来院しなければ、経営には結びつかない。最初に決めておきたいのは、フォロワーの数ではなく「見た人が、迷わず予約に進める状態を作る」という1点だけだ。
Instagramには、お店やサロン向けの「プロアカウント」という無料の設定がある。切り替えると、プロフィール欄に電話番号や地図へのボタンを置けるようになり、投稿がどれくらいの人に届いたかを見る画面(インサイトと呼ばれる)も使えるようになる。この基本の仕組みは何年も変わっていないので、まだプロアカウントに切り替えていない場合は、最初の作業としてここから直しておく。インサイトの画面は、どの投稿がよく見られているかを数字で確認できるので、「なんとなく反応が良い気がする」ではなく、実際の数字を見てから次の投稿の型を決める習慣にも使える。
ここに、コメント欄に反応して自動でDMを送る仕組みを組み合わせると、投稿を見た人が予約の一歩手前まで、人の手を介さずに進めるようになる。ここまでが「最初の90日」の目的地だ。90日という区切りは、1人で運用しながらでも、プロフィール・投稿・フォローという3つの土台を順番に固めていける期間として置いている。
整骨院・接骨院は、他の業種以上に「言葉の選び方」に気をつかう業種でもある。「絶対に良くなります」「必ず治ります」のような言い切りは、実際に来院した人の感じ方と食い違ったときに、信頼を落とす原因になる。投稿やハイライトで体験談を紹介するときは、「個人の感想です」の一言を添えるなど、事実の範囲で書く姿勢を最初から投稿の型に組み込んでおく。Before・Afterの写真を使う場合も、写っている人の同意を毎回きちんと取ることと、「同じ結果を保証するものではない」と分かるように書き添えることを忘れない。丁寧な言葉づかいは、遠回りに見えて、長く通ってくれる人との信頼関係を作る一番の近道になる。
最初の90日でやる3つのこと
90日を3つに区切り、1か月ごとに1つずつ土台を作っていく。焦って全部を同時にやろうとしないことが、1人で運用を続けるコツだ。3つを同時に始めると、どれも中途半端なまま次の作業に気を取られてしまい、結局どこにも仕組みが残らない、ということが起きやすい。1つずつ確実に積み上げるほうが、遠回りに見えて早い。
最初の90日で作るのは、その入り口だけでいい。
投稿を30本続けても、DMが0件だった理由
以前、佐賀県内の別の整骨院と一緒に、開院から3か月分のInstagramを見返したことがある。施術中の写真を中心に、30本近く投稿を続けていたが、DMでの問い合わせは0件のままだった。原因は投稿の質ではなかった。プロフィール欄に電話番号はあったが、Instagramの中だけで完結する「予約の入り口」がなかったことが、一緒に見返して初めて分かった。プロアカウントへの切り替えと、コメントから自動でDMにつながる入り口を足しただけで、投稿の内容はほとんど変えていない。
この整骨院の例からわかるのは、投稿を増やすことより先に直すべき場所があるということだ。フォロワーが少なくても、来院につながる入り口さえ整っていれば、最初の一歩は踏み出せる。90日という期間は、その入り口を落ち着いて作るための時間として使ってほしい。
90日を過ぎたら終わり、というわけでもない。月に1回、プロフィールの内容と、コメントからDMにつながる合言葉が今も正しく動いているかを見返す時間を作っておく。Instagramの表示のされ方は少しずつ変わることがあるので、一度作った仕組みをそのままにせず、月1回の見返しを習慣にしておくと、途中で入り口が壊れていることに早く気づける。