このケースの全体像
注文住宅は数千万円〜億単位の超高単価B2C商材で、検討期間は半年から2年と長期にわたります。営業の現場で最も苦しいのは「資料請求はもらえるが、その後の追客が属人的で離脱が多い」「お客様の温度感が見えず、営業が空振りする」という2つの課題です。
このケースでは、ManyChat × Instagram DM × LINE公式 × MAの組み合わせで「資料請求後の長期追客を自動化」「本気度をタグ付けして可視化」「最高熱量の瞬間に営業マンが介入する仕組み」を構築しました。営業マンの稼働時間を「冷やかし対応」から「本気顧客との深い商談」に再配分する設計です。
本記事では実装した全7ステップを、住宅業界特有の長期検討フローを踏まえて公開します。リフォーム・不動産・高額家具・高単価B2C事業にもそのまま応用可能です。
Before / After
- 資料請求後の追客が属人的で離脱が多い
- 営業マンの温度感判断にバラつき
- 「いつ電話していいか」分からず空振りが頻発
- 見学会への誘導も口頭依頼で機会損失
- 長期検討者を放置して他社流出
- 資料請求後3ヶ月の追客が完全自動化
- 本気度タグで「今動くべき顧客」が一目で分かる
- 営業介入のタイミングが優先リストで明確化
- 見学会誘導もタイプ別に自動配信
- 長期検討者も2年間の継続育成で機会損失ゼロ
実装の全7ステップ
注文住宅メーカーの現場で動いている設計を、ManyChat内の操作レベルまで含めて公開します。
Instagram投稿のキーワードコメントを「家づくり相談の入口」にする
ManyChat側の設定:
①
Instagram → Comments 機能で、対象投稿を指定② キーワード「資料」「気になる」「平屋」「ZEH」などをテーマ別に登録
③ キーワード検知 → 自動DM開始フローを設定
④ 初回DMは「コメントありがとうございます」+家づくりガイド(PDF)プレゼントのボタン1つ
⑤ ガイドを受け取るタップで、お客様に「家づくり潜在層」のタグを自動付与
対象アカウントは「Instagramビジネスアカウント」かつManyChat接続済みであることが必須。
DM内で「家族構成・建築時期・予算感」の3問ヒアリング
Quick Reply ボタン で展開:Q1「ご家族構成は?」→ ボタン4択:夫婦のみ/子1人/子2人以上/3世代
Q2「建築時期のご希望は?」→ ボタン4択:1年以内/1〜2年/2〜3年/まだ未定
Q3「ご予算感は?」→ ボタン4択:2,500万円以下/2,500〜3,500万円/3,500〜5,000万円/5,000万円以上
各ボタンに対応する
Custom Field と Tag を自動付与(例:family-couple、timing-1year、budget-3500-5000)。冒頭に「30秒で完了します」と明示。3問とも完了したお客様には
本気度Lv.1 タグも自動付与します。資料請求フォーム+住所登録で「紙資料の郵送」も組み込む
① ボタン「紙の資料も無料でお届けします(クリック)」
② 外部フォームで「お名前・住所・連絡先・希望日時」を入力
③ フォーム送信後、自動で社内CRM(kintone/Salesforce/Notion等)に登録
④ ManyChatに戻る導線(フォーム完了画面に「DMで続きを受け取る」ボタン)でManyChatの24時間タイマーをリセット
紙資料の発送は、社内オペレーションで2営業日以内に発送、その旨をDMで通知します。
住所登録までしてくれたお客様には
本気度Lv.2 タグを自動付与します。また、紙資料の発送が遅れると信頼を失います。社内オペレーションフローに「資料発送 = 2営業日以内」を明文化し、ManyChatの自動通知と連動させること。
24時間以内に「家づくり失敗事例+会社の信頼情報」を集中配信
Tag(家族構成・建築時期・予算)でフロー分岐させ、タイプ別の情報を24時間以内に配信:予約完了直後(0時間目):「資料、ご請求ありがとうございます」+会社代表からのメッセージ動画
4〜6時間後:家族構成別の家づくり失敗事例3つ(例:子2人家庭で多い後悔TOP3)
12時間後:自社の保証制度・アフターサービス・施工実績
20〜22時間後:「お客様の声」動画+「見学会への招待」ボタン
最後の「見学会への招待」ボタンが次のアクションとなり、24時間タイマーをリセットしてStep 5へ繋がります。
配信は
Delay ノードで時間制御、タイプ別の分岐は Condition ノードで Tag をチェックします。また、代表からの動画は完璧でなくてOK。スマホ撮影で「人柄」が伝われば充分です。
見学会の誘導はLINE/メール → DMボタン押下で再起動
その後の運用:
① 月1回の見学会開催情報をLINEで配信
② エリア・物件タイプ別に配信を出し分け(家族構成タグを使用)
③ LINE内に「DMで詳細を受け取る」ボタンを設置
④ ボタンを押すとInstagram DMに戻り、ManyChatの24時間タイマーがリセット
⑤ DMで「見学会の詳細」「予約フォーム」「事前準備リスト」を配信
紙資料が届いた1週間後の「資料の感想を聞かせてください」DMで会話を再開させる手も有効です。
DM/LINE/メールの3チャネルを使い分けるのが現実解です。
見学会完了後の「本気度判定+営業介入タグ付け」
①
本気度Lv.3:建築時期・予算明確、即提案候補(営業マンが翌日架電)②
本気度Lv.2:方向性は決まっているが時期検討中(2週間後にLINEフォロー)③
本気度Lv.1:情報収集段階(月次のメルマガ配信のみ)Lv.3のタグ付与をトリガーに、自動DMが発火:
- 当日中に「見学会のお礼」DM
- 翌朝に「個別相談予約」のボタン付きDM
- 営業マンへの社内通知(Slack/Chatwork)も同時発火
この一連のフローは見学会当日〜翌日(24時間以内)なので、Meta規制に引っかかりません。
また、Lv.3のお客様への営業介入は「翌日中」が鉄則。1週間後では他社に流れます。
長期検討者(半年〜2年)の継続育成はLINE/メールが本軸
LINE側の長期育成シナリオ:
毎月1回:施工事例の新作紹介(家族構成タグで出し分け)
季節ごと(年4回):家づくりお役立ち情報(季節別の住まいの注意点など)
年1回:見学会の特別招待(建築時期タグが近づいたお客様優先)
誕生月:個別メッセージ(営業担当者からの自筆風メッセージ)
建築時期タグが「1年以内」に変化したお客様には、自動でLv.3への昇格+営業マン通知が発火する仕組み。
どのタイミングでも「DMで質問する」ボタンを設置し、興味が高まった瞬間にInstagram DM側にも戻れる構造に。
また、誕生月メッセージは営業担当者の手書き風(実際に手書きでも可)にすると、感情のつながりが生まれて成約後の紹介率も上がります。
このケースから学べる3つの原則
原則1:高単価B2Cでは「先に与える」が成約への最短ルート。注文住宅のような高額商材ほど、最初のDMで自社宣伝より「失敗事例集」「コストダウンガイド」「失敗回避チェックリスト」を無料提供する。Reciprocity(返報性)が働き、お客様側から「相談したい」と言ってもらえる関係が作れます。
原則2:本気度の可視化が、営業効率を倍にする。見学会の現場でタグ付け基準を明文化し、Lv.1〜Lv.3で本気度を可視化する。営業マンが「翌日架電すべき優先リスト」を毎朝確認できる状態が、注文住宅の成約率を決定的に左右します。
原則3:長期検討者を放置しない仕組みが、年間総成約数を大きく伸ばす。「すぐ契約しない人」こそ、月1回の良質コンテンツで関係を維持し続ける。LINE主導の長期育成が、2年後の成約と紹介ルートを生み出します。
同じ仕組みが使える他業種
この注文住宅の「資料請求→本気度選別→営業介入→長期育成」の流れは、以下の高単価B2C業種にそのまま応用できます。
リフォーム・リノベーション:検討期間の長さと本気度判定の重要性が完全に同じ構造。
不動産売買(仲介・新築マンション):内見会→本気度タグ付け→営業介入の流れが応用可能。
高額家具・キッチンメーカー:ショールーム来店後の本気度判定と長期育成の構造が共通。
結婚相談所・婚活サービス:来店相談後のフォロー、長期検討者の関係維持の構造が同じです。
BtoB営業(システム導入・コンサルティング):問い合わせ後の温度感判定と最適タイミングでの介入が応用可能。