Notes / Instagram

「フォロワー何人ですか?」が、
通じなくなる日

2026.08.21

交流会の名刺交換で、3回同じ質問をされた

先週の木曜、佐賀市内の異業種交流会に顔を出した。名刺を交換して「Instagramの導線設計をやっています」と言うと、返ってくる質問はだいたい決まっている。「フォロワー、何人ですか?」。その日は2時間で3回聞かれた。

この質問が出るのは、フォロワー数が「そのアカウントの信用を測る、いちばん手軽な物差し」だからだ。プロフィールを開けば誰でも見える数字で、多ければ強く、少なければ弱い。店舗のオーナーさんが「まず1万人を目指したい」と言うのも、この物差しが世の中に浸透しているからだと思う。

ところが帰りの車で読んだ海外ニュースで、手が止まった。Instagramが、この物差しそのものをプロフィールから外すテストを始めている。フォロワー数を追いかける運用の前提が、土台から変わるかもしれない話だ。

今日は、この表示テストの中身と、数字の看板が効かなくなる前に整えておく「DMの中身」3設計を、ManyChat構築125社の現場から書く。

何が始まったのか:「フォロー中」が「友達」に置き換わるテスト

Social Media Todayなど複数の海外メディアが報じた内容によると、Instagramはプロフィールの「フォロー中(Following)」表示を「友達(Friends)」に置き換えるテストを開始した。「友達」に表示されるのは相互フォローの相手だけ。さらに2026年8月のアップデートまとめでは、フォロワー数ではなく相互の「友達」だけが見える仕様のテストも確認されている。

整理すると、変化はこうなる。

これまで
テスト中の表示
フォロワー◯人・フォロー中◯人
数字が信用の看板。多いほど強く見える
「友達」表示
相互フォローの相手だけが見える。一方通行のフォロワー数は前に出ない
評価の軸
「何人に見られているか」から「誰と相互につながっているか」へ

背景にあるのは、Metaがはっきり公言している方針だ。いわく、いまのInstagramの交流の中心はフィードではなくDM。実際、初めてDMする相手との会話開始画面に「双方がフォローしている共通のクリエイター」を提示するカードのテストも同時に走っており、開発リソースがDM周りに集中しているのが分かる。

この流れは当ブログで書いてきた変化とも一直線につながっている。ナビゲーションを個人化してDMを正面玄関にするUIテスト、反応が落ちたフォロワーを可視化するAudience Connections。そして今回の「友達」表示。3つを並べると、Instagramが向かう先は明らかだ。数字の広場から、関係性の店内へ。

なぜ重いのか:「1万人を目指す運用」の前提が崩れる

フォロワー数がプロフィールの前面から消えると、何が起きるか。まず、数字による権威付けが効かなくなる。「フォロワー1万人の実績があります」という看板は、見る側がその数字を確認できて初めて機能する。表示されなければ、初見の人がアカウントを信用する材料は「投稿の中身」と「話しかけたときの対応」しか残らない。

次に、フォロワーを増やすこと自体を目的にした施策の価値が下がる。プレゼント企画で一時的に数字を膨らませても、相互フォローの「友達」にはならないから、新しい表示にはほとんど反映されない。逆に、たとえ数百人でも、DMでやり取りのある相手が多いアカウントは、Instagramのアルゴリズム上もプロフィール上も強くなっていく。

店舗の商売に置き換えると分かりやすい。これまでは「店の前の行列の長さ」で選ばれていたのが、これからは「店主と客が会話している様子」で選ばれるようになる。行列は演出できるが、会話は演出できない。正直な店ほど有利になる変更だと個人的には思う。ただし、会話の受け皿を用意していない店にとっては、看板だけ外される痛い変更でもある。

まだテスト段階で、全アカウントに展開されると決まったわけではない。ただ、リーチの約18%減、フィードの半分がおすすめ枠、という2026年前半の流れを踏まえると、「数字より関係性」への移行は方向として固まっている。テストの結果を待ってから動くより、いま受け皿を作っておく方が得だ。

行列は演出できるが、
会話は演出できない。
次に選ばれるのは、会話のある店。

数字の看板より先に整える、「DMの中身」3設計

では、フォロワー数が見えなくなる時代に何を整えておくか。125社のManyChat構築で使ってきた型から、優先順位の高い順に3つ挙げる。どれも「フォロワーを増やす」施策ではなく、「いるフォロワーと会話が始まる」ようにする設計だ。

Design 01
看板の掛け替え:プロフィールを「数字」ではなく「入口」で信用させる
対象=プロフィール文・ハイライト・固定投稿
数字が消えたプロフィールで、初見の人が10秒で見るのは3つ。プロフィール文、ハイライト、固定投稿だ。ここに「何をしてくれる店か」と「どこから話しかければいいか」を置く。プロフィール文の最後は「気になる方はDMで『メニュー』と送ってください」のように、DMへの入口を1行で明示する。ハイライトには「はじめまして」「メニューと料金」「お客様の声」を常設し、固定投稿の1枚目はいちばん会話が生まれた投稿にする。実績を示したいなら、フォロワー数の代わりに「お客様との実際のやり取り」を見せる方が、これからの表示仕様には合う。
看板
プロフィール文+入口1行
常設
ハイライト3枠
実績
会話の見える投稿
Point
数字が見えない時代の信用は「入口の分かりやすさ」で決まる。まず看板を掛け替える。
Design 02
最初の一通:フォロー直後の「あいさつDM」で相互の関係に変える
道具=ManyChat「Follow to DM」ベータ/コメントトリガー
「友達」表示の世界では、一方通行のフォローを相互のやり取りに変えることが運用の中心になる。その最大のチャンスがフォロー直後だ。関心がいちばん高い瞬間に、あいさつと小さな特典、そして答えやすい質問をひとつ添えたDMを届ける。ManyChatでは新規フォロワーへ自動であいさつDMを送る「Follow to DM」がベータ提供中で、新しい統合Instagramオンボーディング経由で接続したアカウントが対象になる。質問は「ご来店されたことはありますか?」のような二択で十分。返信が1通あるだけで、その相手との関係はアルゴリズム上も「会話のある間柄」に変わる。初回DMの組み方は初回DM設計3つの記事に詳しく書いた。
入口
フォロー直後
自動化
Follow to DM/コメント起点
中身
あいさつ+二択の質問
Point
フォローを「数」で数える運用から、返信1通で「関係」に変える運用へ。
Design 03
会話を資産に:やり取りの記録をタグで残し、常連の名簿を作る
土台=ManyChatのタグ/カスタムフィールド
フォロワー数という「見える資産」が消えるなら、代わりに積み上げるのは「会話の記録」という見えない資産だ。DMで聞いた来店のきっかけ、気になっているメニュー、予約の履歴をManyChatのタグとカスタムフィールドに残しておく。この名簿があれば、新しい機能がどう変わろうと、誰が常連で、誰が離れかけていて、誰にどんな一声をかければいいかが自分の手元で分かる。プラットフォームの表示仕様は向こうの都合で変わるが、自分で持っている名簿は誰にも消せない。数字の看板を失う代わりに、名簿という帳場を持つ。それがこの設計の狙いになる。
記録
きっかけ・興味・履歴
道具
タグ+カスタムフィールド
成果
自分の手元に残る名簿
Point
表示仕様はInstagramのもの。会話の名簿は自分のもの。積むべきは後者。
From Numbers to Conversations
「数字の看板」が消えたあとに残るもの、3設計の関係
「フォロワー数」→「友達」表示テスト 数字の看板が、プロフィールの前面から消えていく DESIGN 01 看板の掛け替え プロフィールを 「DMへの入口」に組み替え DESIGN 02 最初の一通 フォロー直後のあいさつDMで 一方通行を相互の関係に DESIGN 03 会話を資産に タグと履歴で 自分の手元に名簿を残す 数字が消えても揺らがないアカウント 入口が分かる→会話が始まる→名簿が育つ、の順で積み上がる SUICS LLC — INSTAGRAM DM FUNNEL DESIGN

今日20分でやる、「数字が消えた自分の店」の点検

テストが自分のアカウントに来るのを待つ必要はない。今日20分で、次の3つを確認してみてほしい。

1つ目、スマホでログアウトするか家族のスマホを借りて、自分のプロフィールを初見の目で開く。そしてフォロワー数を手で隠して眺める。数字なしで、この店が何屋で、どこから話しかければいいか、10秒で分かるか。分からなければDesign 01の出番だ。

2つ目、直近のDM受信箱を開き、この1か月で「こちらから会話を始めた」やり取りが何件あるかを数える。ゼロなら、フォローされた瞬間の一通が仕組みとして存在しないということ。Design 02の自動あいさつDMを検討するサインになる。

3つ目、いま常連だと思うお客さんを5人思い浮かべ、その人たちの「来店のきっかけ」を自分が言えるかを試す。言えない相手が多いなら、会話はしていても記録が残っていない。Design 03のタグ設計から始めるのが向いている。

「数字の運用」から「会話の運用」への乗り換えは、設計の仕事

3設計はどれもManyChatの標準機能で組める。ただ、道具の操作より難しいのは、自分の店の場合はどの入口で、どんな一通で、何を記録するかという設計の部分だ。エステサロンと飲食店とECでは、同じ「あいさつDM」でも中身がまるで違う。そして接続方式によってFollow to DMベータが使えるかどうかも分かれるため、いま使っている環境の確認から始める必要がある。

SUICSはManyChatの構築を125社やってきて、その大半が地方の店舗・個人事業主のアカウントだった。フォロワー数を追う運用から会話を積む運用への乗り換えは、この2026年で間違いなく最大の転換点だと感じている。

SUICS Service — Instagram × ManyChat 導線設計
「数字が消えても選ばれる店」の、DM導線づくり。
解決できる悩み:「フォロワー数を追う運用から抜け出したい」「フォロー直後の自動あいさつDMを規約の範囲内で組みたい」「Follow to DMベータが自分のアカウントで使えるか確認したい」「タグとカスタムフィールドで常連の名簿を作りたい」「プロフィールからDMまでの入口を業種に合わせて設計したい」。現状のアカウント診断から、導線設計・構築・運用の定着まで一気通貫で伴走します。
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「何人ですか?」から「どんな会話してますか?」へ

あの交流会で聞かれた「フォロワー何人ですか?」に、これからは別の答え方をしようと思っている。「数はそこそこですが、DMでの会話は毎日あります」。いまはまだ伝わりにくい答えかもしれない。でも、Instagramの表示がテストの方向で変わっていけば、1〜2年のうちにこちらが標準の物差しになる。

数字は借り物で、会話は自分のもの。看板が外される前に、帳場を作っておく。テスト段階のいまが、いちばん静かに準備できるタイミングだと思う。

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