母から送られてきたスクショに、去年の年末年始の営業案内が写っていた
昨日の夕方、実家の母からLINEでスクリーンショットが1枚届いた。「このパン屋さん、今日開いとる?」という一文つきで。写っていたのは、近所のパン屋のInstagramハイライト「営業時間」の中身だった。開いてみると、そこに置かれていた画像は「年末年始のお知らせ 12/30〜1/3は休業します」。8月の日曜に、去年の年末の案内が看板として立っていた。
母は電話をかけるでもなく、DMを送るでもなく、私にスクショを転送して終わった。つまりこのパン屋は、行く気満々だった客を1人、静かに取り逃がしている。腹が立つ話ではなく、これはお店の怠慢でもない。ハイライトを更新するには、これまで一度ストーリーズに投稿して、24時間流してから、そこに保存し直すという手順が必要だった。看板を1枚差し替えるだけなのに、既存のフォロワー全員のタイムラインに「営業時間のお知らせ」を流す必要があった。その面倒くささが、半年前の情報を8月まで残す。
その仕組みが、今まさに変わろうとしている。Instagramが、ストーリーズを経由せずコンテンツを直接ハイライトへ追加できる新しいフローをテストしているのだ。まだ全アカウントには降りていない。だからこそ今日は、機能が来る前に手を動かしておく話を書く。
「24時間の残骸置き場」から「プロフィールの正式なセクション」へ
海外のSNS運用メディアNapoleonCatが2026年8月のアップデートまとめで報じたところによると、Instagramは今、ストーリーズへの投稿を挟まずに直接ハイライトへ追加できる導線をテスト中だという。同メディアはこの変更を「ハイライトがストーリーズのアーカイブではなく、プロフィールの正式なセクションに近づく」と評価している。
この一段の省略が持つ意味は、機能の便利さの話にとどまらない。ハイライトの正体が変わる。これまでのハイライトは、構造上どうしても「24時間で消えるものを、消えないように取っておいた場所」だった。だから中身も自然と、イベントの様子・入荷の告知・スタッフの日常といった「流れていくもの」に寄っていた。ストーリーズを挟まなくてよくなると、ハイライトは最初から消えない前提で作る場所になる。メニュー表、料金の考え方、アクセス、お客様の声、よくある質問——つまり、店の常設ページだ。
ここで思い出しておきたいのが、2026年8月上旬の別の変更だ。Instagramはハイライトをプロフィール上部の丸いアイコン列から、専用のタブへ移した。この件は 「Instagramハイライトが"専用タブ"に格下げ」 記事に書いた通りで、露出という意味では一等地から一段奥へ引っ越している。
格下げと、直接追加。相反するようで、2つは同じ方向を向いている。Metaはハイライトを「目立たせる場所」ではなく「調べに来た人が答えを見つける場所」として作り直している。通りすがりに目に入る看板から、気になった人が自分で開く常設ページへ。役割が変われば、置くべき中身も変わる。
そのとき差がつくのは、
「どの枠に何を置くか」を決めてあるかどうか。
今日そろえる、ハイライト5枠の型
ManyChat構築で125社の店舗アカウントを見てきて、ハイライトの中身には共通の失敗パターンがある。枠がやたら多く、名前がバラバラで、順番に意味がないことだ。「2024夏」「イベント」「スタッフ」「新商品」「お知らせ」「日常」——見に来た人が知りたい情報が、どこにあるか分からない。
枠は5つでいい。しかも順番に意味を持たせる。初めて店を知った人が、左から順にタップするだけで判断を終えられる順番に並べる。これが5枠の型だ。
ハイライトが厚くなると、自動DMが短くなる
SUICSがManyChatを組むとき、いちばん時間をかけているのはDMの文章ではなく、DMの前後にある「説明の分担」だ。自動DMの離脱は、たいてい文章が長いところで起きる。料金の説明、所要時間の説明、キャンセル規定の説明——ぜんぶDMに詰め込むと、読む側は3通目で疲れる。
ハイライトの5枠が埋まっている店は、DMから説明を全部抜ける。「ご予約ありがとうございます。ご希望の日時を第3希望まで教えてください」の1通で終わる。返信率は、この短さで変わる。会話型コマースの設計については 「『プロフのリンク』はもう踏まれない」 記事に詳しく書いた。
もう1つ、機能が来る前にやっておくべきことがある。更新の当番を決めることだ。直接追加が実装されると、ハイライトの更新は「誰にも通知されない、静かな作業」になる。静かな作業は、放っておくと誰もやらない。月に1回、15分だけ「ハイライト点検の日」をカレンダーに入れる。見るのは02(料金は今のものか)と04(先月DMで3回以上答えた質問はないか)の2枠だけでいい。冒頭のパン屋の「年末年始のお知らせ」は、この15分があれば1月4日に消えていた。
並べる順番そのものを見直したい場合は、プロフィールのグリッド側と合わせて設計するのが早い。グリッド先頭3枚の使い方は 「Instagramプロフィール『グリッド並び替え』解禁」 記事にまとめてある。
機能が来てから慌てる店と、来る前に埋めてある店
直接追加はまだテスト段階で、いつ全体に降りてくるかは公表されていない。だから今日の結論はシンプルだ。機能を待つ必要はない。今日、5枠の名前だけでも決めておく。中身は、既にストーリーズで流したことがあるものを拾い直せばいい。ゼロから作る作業ではない。
機能が降りてきたときに得をするのは、「どの枠に何を置くか」が決まっている店だけだ。決まっていない店は、更新が簡単になったところで、何を更新すればいいか分からないまま半年前の情報を残す。差がつくのは機能の有無ではなく、設計の有無になる。
母がスクショを送ってきたパン屋は、パンがおいしい。それだけに、8月の日曜に去年の年末の看板が立っていたのがもったいなかった。