フォロワー2,300人、ストーリーズの閲覧者は94人だった
先週の金曜、飲食店のオーナーさんとZoomをつないでいたときのこと。画面共有してもらったストーリーズの閲覧者数を見て、二人で同時に黙った。フォロワー2,300人のアカウントで、前日の夜に上げたストーリーズの閲覧者は94人。計算すると約4%だ。しかも閲覧者リストをスクロールすると、並んでいるのは毎回ほぼ同じ顔ぶれだった。
毎日欠かさず上げているのに、フォロワーの96%には最初から表示すらされていない。これはこのお店が特別に下手なわけではない。海外の報道では、ランキングアルゴリズムの影響で特定のストーリーズがフォロワーの最大98%に届いていないという「リーチギャップ」が指摘されている。ストーリーズトレイの左端に並べるのは数枠だけ。そこに入れなかったストーリーズは、24時間静かに待って、誰にも見られないまま消えていく。
ところが今、この構造をInstagram自身が変えようとしている。2026年8月17日に発見報告が出た新機能「Catch Up on Stories」。フォロー中アカウントの「見られなかったストーリーズ」をまとめて再表示する、いわば見逃しストーリーズの復活枠だ。今日はこの新機能の中身と、本実装される前に仕込んでおきたい3つの設計を、ManyChat構築125社のSUICSの動線設計視点で書いていく。
「Catch Up on Stories」とは何か——見逃しに“二度目のチャンス”が生まれる
Catch Up on Storiesは、現在iOS限定でテスト中の新セクションだ。ストーリーズトレイの中に、通常の新着ストーリーズとは別枠で置かれ、アルゴリズムに埋もれて表示されなかった過去のストーリーズを再浮上させる。つまり「あなたが見逃したストーリーズ、まとめてどうぞ」という敗者復活戦の枠が、トレイの中に常設される形になる。
Instagramがこの機能を出してきた背景は分かりやすい。ストーリーズは投稿の中でいちばん気軽に出せるフォーマットなのに、前述のリーチギャップのせいで「出しても届かない」体験が積み重なり、投稿する側のモチベーションが削られてきた。作り手が投稿をやめればプラットフォームは痩せる。だからInstagram自身が、自分のアルゴリズムが埋めたストーリーズを掘り起こす仕組みを作りにきた——報道ではそう整理されている。
注意点も先に書いておく。この機能はまだテスト段階で、全ユーザーへの本実装は確定していない。仕様が変わる可能性も、テストのまま消える可能性もある。ただ、それでも今から準備する価値がある理由が1つある。この機能が本実装されたとき有利になるストーリーズ設計は、本実装されなくても損をしない設計だからだ。ここが今日の記事のいちばん大事なポイントになる。
前提が変わる——「24時間で消える投稿」から「後から見られる投稿」へ
これまでのストーリーズ運用は、「24時間で消える」「見てくれるのはいつもの常連だけ」という前提で組まれてきた。だから多くのお店のストーリーズは、今日のランチ、今日の空き枠、今日の入荷——「今この瞬間」を流す投稿になっている。それ自体は悪くない。ただ、復活枠の時代にはこの前提が1つ崩れる。
Catch Up on Storiesに載ったストーリーズは、投稿から時間が経ったあとに、文脈を知らない人の目に触れる。夜に上げた「本日21時までタイムセール」が、翌日の昼に復活枠で表示されたらどうなるか。見た人は一瞬期待して、日付に気づいて、小さくがっかりして閉じる。届かなかった時代には起きなかった「届いたのにマイナス」が起きる。
逆に言えば、後から見られても成立する形に組み替えておいた店だけが、復活枠を「二度目の集客チャンス」として総取りできる。フォロワーの98%に届いていなかったのだから、復活枠経由で届く相手はほぼ全員「いつもの常連ではない層」だ。ここを回収できるかどうかで、同じ投稿本数のまま成果が変わる。では、どう組み替えるか。設計は3つある。
復活枠に載っても回収できるストーリーズ、3つの設計
125社のManyChat構築で使ってきた動線設計の考え方を、復活枠の時代に合わせて組み直したのが次の3つだ。どれも今日のストーリーズから変えられる。
裏返せば「98%分の未開拓リスト」。
復活枠は、それを配り直す機能だ。
今日からやること——復活枠が来る前の仕込み3手順
本実装を待つ必要はない。まず、直近1週間のストーリーズを見返して、「後から見た人が混乱する投稿」がどれだけあるかを数えてみてほしい。日付のない時限オファー、続き物の途中、店名の分からない1枚。これが多いほど、復活枠時代の伸びしろが大きい。
次に、常設オファーを1本決める。初回特典でも、予約導線でも、メニュー表の自動送付でもいい。「いつ見た人にも同じ価値がある入口」を1つ持つと、ストーリーズだけでなくハイライトにも置き直せる。ハイライトの組み方は 「ハイライト5枠の型」 の記事でまとめている。
最後に、リプライの受け皿を自動化する。キーワードに反応して特典や空き状況を返す自動DMを組んでおけば、深夜でも定休日でも、復活枠経由の閲覧者を取りこぼさない。ストーリーズの表示期間を伸ばす方向の変化は、Instagram Plusの48時間化に続いて2つ目だ。「後から見られる前提」への流れは、もう偶然ではないと考えている。
最後に:アルゴリズムの変化は、準備した店から順に追い風になる
冒頭の飲食店のオーナーさんには、Zoomのその場で常設オファーを1本決めてもらった。「初めての方は『はじめて』とDMで特典」という1枚を、その日のストーリーズの最後に足しただけ。翌週には、閲覧者リストに見たことのない名前が数件混ざり始めたと連絡が来た。復活枠はまだ来ていない。それでも、後から見られる前提の設計は、ハイライト経由・プロフィール経由の流入で先に効き始める。
Catch Up on Storiesが本実装されたら、この効き方が一段跳ねる。98%に届いていなかったという数字は、悲観する材料ではなく、まだ配っていないチラシが98%残っているという意味だ。配り直しの仕組みはInstagramが作ってくれる。こちらは、いつ配られても成立する1枚を仕込んでおくだけでいい。