日曜の夜、自分のフィードから釣り動画を消してみた
日曜の夜、ソファでInstagramを開いた。設定の中に「Your Algorithm」という項目が増えていて、自分のおすすめに出るトピックの一覧が並んでいる。数ヶ月前からリールでは見かけていた画面だが、いつの間にかメインフィードのおすすめまで調整できるようになっていた。試しに、なぜか毎晩流れてくる「釣り」を減らして、「コーヒー」を増やしてみた。
月曜の朝、フィードを開いたら本当に釣り動画が消えていた。代わりに、行ったこともない焙煎所の投稿が並んでいる。便利だなと感心して、コーヒーを一口飲んだところで、手が止まった。これは見る側としては最高の機能だ。でも、見せる側——つまり店をやっている人間にとっては、話がまったく違う。
ユーザーが「見たいトピック」を自分で選べるということは、選ばれなかったトピックの投稿は、どれだけ頑張ってもその人のおすすめに出てこないということだ。今までは「アルゴリズムに気に入られれば、誰にでも届く可能性があった」。これからは「ユーザー本人が選んだ棚にしか、並べてもらえない」。届くかどうかの決定権が、アルゴリズムからユーザーの指先へ移った。今日は、この変化が店舗・個人事業主の集客にとって何を意味するのかと、おすすめ任せをやめて「DM資産」に切り替える3つの設計を書いておく。
何が変わったのか——「Your Algorithm」フィード拡大と、評価指標の再編
整理しておく。Instagramは2025年12月、リールのおすすめに「Your Algorithm(トピックコントロール)」を導入した。ユーザーが「もっと見たいトピック」「見たくないトピック」を指定でき、おすすめの中身を能動的に調整できる機能だ。そして2026年、この仕組みがメインフィードのおすすめにも広がった。リールだけの実験ではなく、Instagramの表示全体が「ユーザーが選ぶ」方向に舵を切ったことになる。
同時に、投稿を評価する指標も再編されている。2026年のInstagramは公開指標を「閲覧数(Views)」に統一し、保存数や単純ないいねの優先度を下げた。そして非フォロワーへの拡散でいちばん重く見られているのが「Sends per Reach」——届いた人のうち、その投稿をDMで誰かに送った人の割合だ。リールでこの傾向が数字に出ていることは「DMで送られた数がいいねの3〜5倍」の記事に書いたが、指標の再編はリールに限らない。
2つを重ねると、こうなる。おすすめに出るかどうかは「ユーザーが選んだトピックに入っているか」で決まり、そこからの拡散は「人に送りたくなるか」で決まる。「バズ待ち」という戦い方は、仕組みの上で成立しなくなった。今年前半にオーガニックリーチが約18%減ったという数字はリーチ18%減時代の記事で書いたが、あのときは「届きにくくなった」という程度の変化だった。今回は構造の変化だ。届く・届かないの決定権そのものが、店の外に出た。
ここで大事なのは、悲観ではなく仕分けだと思う。アルゴリズム任せのリーチは、これからも縮む。でも、フォロワーとの関係、そしてDMの中の会話は、トピック設定の影響を受けない。ユーザーが釣り動画を消しても、友達からのDMは消えない。店のアカウントが「おすすめに流れてくる存在」から「DMで直接つながっている存在」に変われば、この変化はむしろ追い風になる。
DMは自分の手元に残るもの。
決定権が移った今、積むべきは後者だ。
おすすめ任せをやめて「DM資産」に切り替える3設計
では、具体的に何を組み替えるか。ManyChatの構築でお付き合いしてきた125社の設計を、この変化に合わせて並べ直すと、やることは3つに絞られる。
今日20分でやる、「選ばれる側」の点検
最後に、今日できることを置いておく。まず自分のスマホでInstagramの設定を開き、「Your Algorithm」の画面を実際に触ってみてほしい。自分が客としてトピックを選ぶ体験をすると、「選ばれない投稿は存在しないのと同じ」という感覚が腹に落ちる。これに5分。
次に、自分のアカウントを開いて、直近の投稿10本を「これは誰かが誰かに送るか?」という一点だけで見返す。宣伝ばかりで、送りたくなる1本がなければ、次の投稿を実用系に差し替える。これに10分。残りの5分で、いちばん反応が良かった投稿に合言葉のコメント誘導が付いているかを確認する。付いていなければ、そこが最初に組む場所だ。DMを起点にした入口の組み方全体は「DMを正面玄関にする3つの組み替え」の記事にまとめてある。
アルゴリズムの変化は、これからも毎月のように続く。でも、DMの中の名簿と会話は、仕様変更のたびにゼロに戻ったりしない。変化のたびに慌てる側から、変化のたびに名簿が効く側へ。切り替えるなら、決定権が移ったことがはっきりした今がいちばん早い。