Notes / Instagram Marketing

MetaがAIキャラ作成を突然終了、
“純正に接客を預けない”設計の話

2026.08.30

お盆休みの高速バスで、去年作った「AI店員」を思い出した

8月のお盆前、福岡行きの高速バスの中でスマホを開いたら、海外ニュースの見出しが目に入った。「MetaがAI Studioでの新規AIキャラクター作成を終了」。2026年8月10日付の発表だった。

それを見て思い出したのが、去年テスト用に作った「AI店員」だ。Metaの純正機能AI Studioを使うと、自分のアカウント用にAIキャラクターが作れて、フォロワーからの質問に24時間自動で答えてくれる。「これが完成度を上げてきたら、店舗の接客はこれで足りるようになるかもしれない」と、クライアント店舗への導入も視野に、営業時間や定休日の質問に答えるキャラを組んで検証していた。

その「作る側の入口」が、閉じた。既存のキャラとのチャット自体は続くものの、新しく作ることも、既存キャラを編集することも、もうできない。もし去年の検証のままクライアント店舗の接客をAIキャラに寄せていたら、今ごろ導線の作り直しに追われていた。バスの中で、少し背筋が冷えた。

今日は、この発表で何が変わったのかの整理と、そこから引き出すべき教訓——「プラットフォームの純正機能に接客の中核を預けない」ための3つの資産化設計を、ManyChat構築125社のSUICSの動線設計視点で書いていく。

何が起きたのか——作成は終了、チャットは継続、軸足は次世代AIへ

まず事実関係を整理する。Metaが2026年8月10日に発表した内容は、大きく3点だ。

項目
変更内容
事業者への影響
AI Studio
新規AIキャラの作成・既存キャラの編集を終了
「自分の店のAI店員」を新しく作る道が消えた。既存キャラも直せない
Instagram AIs
受信箱から他ユーザー製AIキャラとのチャットは継続
既存キャラとの会話は最新モデル基盤に引き継がれ、当面は動く
今後の軸足
新モデル「Muse Spark」を軸にした次世代AI体験へ集中
次のAI機能がどんな形で来るか、来た機能がいつまで続くかは未知数

注目したいのは、この機能が「失敗作だったから消えた」わけではないという点だ。AIキャラとのチャットは使われていたし、だからこそ既存キャラとの会話は残される。それでも、Metaが次世代モデルへ軸足を移すという経営判断ひとつで、「作る側」の入口は閉じた。

ここに、店舗や個人事業主が読み取るべき本質がある。純正機能が続くかどうかは、機能の出来ではなく、プラットフォームの都合で決まる。使う側の努力ではコントロールできない領域だ。

「純正機能は突然閉じる」——今回が初めてではない

振り返れば、この手の話は繰り返されてきた。Instagramのライブ配信の仕様変更、ハッシュタグの扱いの変更、リーチアルゴリズムの度重なる変動。直近では「見る側がアルゴリズムを自分で調整できる」Your Algoの展開が進み、おすすめ表示だけに頼る集客の不安定さは増す一方だ。

それぞれの変更は、Metaにとっては合理的な進化だ。ただ、その上で商売をしている側から見ると、借りている土地の地形が、ある朝突然変わるようなものでもある。しかも今回のAIキャラ終了で分かったのは、消えるのは古い機能だけではないということだ。AI Studioは2024年に鳴り物入りで登場した、当時の最新機能だった。登場から2年での方針転換。「新しい機能だから当分は安泰」という読みも通用しない。

誤解しないでほしいのは、「だから純正機能を使うな」という話ではないことだ。純正機能は無料で、審査も導入コストもなく、リーチの入口として最強だ。問題は使うかどうかではなく、どこまでを純正に任せ、どこからを自分の資産で持つかという線引きにある。

SUICSが125社のManyChat構築で一貫して守ってきたのは、この線引きの設計だ。今回のAIキャラ終了は、その設計の重要性をMeta自身が証明してくれた形になる。以下、具体的な3つの設計を書く。

接客を資産にする3つの設計

Design 01
接客シナリオの「正本」を、持ち出せる場所に置く
プラットフォームが消えても、設計図は自分の手元に残す
AI Studioで作ったAIキャラの設定は、AI Studioが閉じれば取り出せない。一方、ManyChatのような外部ツールで組んだ自動DMのフローは、「どの質問に・どの順番で・何を返すか」というシナリオそのものが管理画面上に図として残り、書き出して別の仕組みに移植できる。SUICSでは構築時に必ずフロー図と文言一覧を納品物として残す。仮にManyChat自体に何かがあっても、シナリオの正本が手元にあれば、別のツールで同じ接客を再現できる。接客の価値はツールではなく設計図に宿る。設計図を自分で持っているか——これが資産化の第一条件だ。
預ける場合
設定は純正の中だけ
資産化する場合
フロー図+文言一覧を保持
効果
ツールが消えても再現可能
Design 02
会話の出口を「連絡先リスト」に落とす
フォロワー数はMetaの資産、リストは自分の資産
AIキャラとの会話ログは、Metaのサーバーの中にある。フォロワーも、厳密にはMetaのデータベースの中の数字だ。アカウントが止まれば両方とも消える。だから自動DMの設計では、会話の最後に必ず「外に出る出口」を作る。LINE登録、メール登録、予約ページ、公式サイト。コメントやフォローをきっかけに自動DMで会話を始め、その会話の中で連絡先リストへ誘導する。この流れが1本できると、Instagramの仕様が何回変わっても、リストに向けた案内は自分のタイミングで送り続けられる。フォロワー1000人より、直接連絡できる100人。この考え方は「フォロワー1000人より価値あるDMリスト100人の作り方」で詳しく書いた。
入口
コメント・フォロー
中間
自動DMで会話
出口
LINE・メール・予約
Design 03
純正は「入口」、中核は「自前」と役割を固定する
無料の純正機能は使い倒す。ただし依存はしない
リール・ストーリーズ・ハッシュタグ・位置情報——リーチを生む純正機能は全部使えばいい。無料で新規客の目に触れられる場所は他にない。線を引くのはその先だ。「問い合わせ対応」「予約導線」「常連客への案内」といった売上に直結する中核業務は、仕様変更で消えない自前の仕組み(自動DM設計・連絡先リスト・自社HP)の上に置く。Instagramにも純正の自動化機能はあり、業種によってはそれで足りる場合もある。純正で足りる業種と外部ツールが要る業種の見分け方は「Instagramに純正『自動化』機能が登場|ManyChatはもう不要?」にまとめている。判断基準はひとつ、「この機能が明日消えたら、売上が止まるか?」。止まるなら、それは純正に預けてはいけない業務だ。
純正に任せる
リーチ・認知の入口
自前で持つ
問い合わせ・予約・常連
判断基準
消えたら売上が止まるか
純正機能が続くかどうかは、
機能の出来ではなく、プラットフォームの都合で決まる。
だから中核は、自分の資産の上に置く。
Dependency vs Asset
純正依存型と資産保有型、仕様変更が来たときの違い
TYPE A 純正依存型 リーチ(純正) リール・投稿・ハッシュタグ 接客(純正AIキャラ) 設定はMetaの中だけ 顧客(フォロワー数) 連絡手段はMeta経由のみ 仕様変更 → 全部が揺れる 接客も顧客接点もゼロから作り直し TYPE B 資産保有型 リーチ(純正=入口) ここは純正を使い倒す 接客(自動DM設計) フロー図・文言の正本を自社保持 顧客(連絡先リスト) LINE・メール・予約=自分の資産 仕様変更 → 入口だけ差し替え 接客と顧客接点はそのまま動き続ける KEEP THE CORE ON YOUR SIDE

「AI接客」そのものは、これから本番を迎える

最後に、誤解のないように書いておきたい。今回の発表は「AI接客の終わり」ではない。むしろ逆だ。MetaはMuse Spark世代のAIに集中するために古い形を畳んだのであって、InstagramのAI機能はこれからも増える。AIが接客の一部を担う流れ自体は、加速していく。

だからこそ、順番が大事になる。まず自分の側に、シナリオの正本と連絡先リストという資産を持つ。そのうえで、新しく出てくる純正AI機能を「入口の強化パーツ」として乗せていく。この順番なら、次にどんな機能が来ても、どんな機能が消えても、商売の中核は揺れない。

実際、SUICSのクライアント店舗では、この2年でInstagram側の仕様変更を何度も踏んできたが、コメント→自動DM→LINE登録という中核の1本線はどの店でも動き続けている。入口の機能が変わるたびに差し替えたのは入口だけで、シナリオとリストは一度も作り直していない。資産化設計の効き目は、平時には見えにくく、仕様変更のたびに効いてくる。

逆の順番——先に純正機能へ全部を預けて、消えてから慌てる——を選ぶと、今回のAIキャラ終了のようなニュースのたびに、導線の作り直しに追われることになる。Instagramの入口がDMへ移りつつある今の流れは「Instagramが“DMを正面玄関”にするUIテスト開始」でも書いたが、DMという最重要の接点だからこそ、その設計は自分の手元に置いておくべきだ。

SUICS Service — ManyChat 構築・導入支援
仕様変更に振り回されない、“持ち出せる”自動DM設計を。
解決できる悩み:「純正機能とManyChat、うちはどっちで組むべきか判断してほしい」「AIキャラやアルゴリズムのニュースのたびに不安になる状態を卒業したい」「コメント・フォロー・シェアからの自動DMを、リスト化まで含めて設計してほしい」「今の自動化がプラットフォーム依存になっていないか点検してほしい」「フロー図と文言の正本を自社に残る形で納品してほしい」。ManyChat構築125社の実績から、入口は純正・中核は自前の切り分けを含めて設計します。
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