Notes / Instagram & DM

【2026年9月最新】Instagram純正AI接客に“値札”が付いた。
1通4〜5セントの従量課金と月額プランを、ManyChatと並べて計算する「月間DM数」3つの線

2026.09.21

9月16日の夜10時、台所のテーブルで発表文を読みながら、紙に3本の線を引いた

9月16日、火曜の夜10時。片付けの終わった台所のテーブルで、Metaがその日に出した発表文をスマホで読んでいた。「Meta One」という月額プランの案内で、事業者向けの一番安いプランに「Meta Business Agentへのアクセスを増やす」という一文がある。Meta Business Agentは、Instagram・Messenger・WhatsAppのDMにMetaのAIが24時間自動で返事をする、Meta純正の接客機能だ。6月の発表では「始めるのは無料」と書かれていた。その純正機能が、9月の発表文では月額プランの中身として並んでいた。

読み終えてから、手元の裏紙に横線を3本引いた。上から「月25人」「月250人」「会話の中身を誰が持つか」。翌日から打ち合わせをする店主に、この3本の線で説明しようと決めたからだ。「Instagramの純正の自動返信は無料、ManyChatは有料」という前提が、この夏で崩れた。純正の側にも値札が付いた以上、どちらが安いかは店によって変わる。決めるのは、機能の一覧表ではなく、自分の店に月に何人からDMが来ているか、という数字だ。この記事では、Metaの公式ページとManyChatの公式ヘルプを9月21日の朝に開いて確認した値札を並べ、店主が自分の数字を当てはめて判断できる3つの線を書く。

何が起きたか——純正AI接客に付いた値札は2枚。「使った分だけ」と「月額の中に含める」

先に言葉を1つそろえる。「トークン」は、AIが文章を読み書きするときに文字を数える単位だ。日本語なら、だいたい1〜2文字で1トークンと思っておけばよい。AIの料金は、この単位で決まることが多い。

1枚目の値札は、開発者向けの公式ページに書かれている。Metaの「Meta Business Agent Platform」(自社の予約システムや商品一覧とつないで使う、事業者向けの仕組み)は、2026年7月1日に公開され、8月1日から有料になった。料金は、世界共通で100万トークンあたり2ドル。公式ページには「1通の返事はふつう2万〜2.5万トークンを使うので、1通あたりおよそ4〜5セント」と書いてある。「何時に開いていますか」のような簡単な問い合わせは、AIが4通返して合計16〜20セント。「組み立ての3番目で詰まっています」のような込み入った相談は、10通で40〜50セントが目安だと、例まで載っている。請求は月ごとにまとめて来る。さらに10月1日からは、AIではなく人が返した返事(サービスメッセージ)にも、WhatsAppで1通ごとの料金がかかる。

2枚目の値札は、9月15日にMetaが発表した月額プラン「Meta One」だ。個人向けは月2.99ドルから、事業者・クリエイター向けは月14.99ドルから。事業者向けの一番安い「Essential」(月14.99ドル〜)には、認証バッジと一緒に「WhatsAppでのMeta Business Agentへのアクセスを増やす」が入っている。「Advanced」(月49.99ドル〜)は、投稿へのリンク挿入や30日先までのストーリーズ予約に加えて「さらに多くのBusiness Agentの返事」。「Expert」(月149ドル〜)と「Max」(月499ドル〜)は「最も多いBusiness Agentの容量」と書かれている。Metaは、この時点で1,500万件の契約と試用があるとも発表した。

正直に書いておくと、分からないことが2つある。1つは、月額を払わない「無料のまま」で純正AIが月に何通まで返してくれるのか。9月21日の朝の時点で、Metaの公式ページにはその数字がない。もう1つは、日本のアカウントでいつ、どのプランが選べるか。発表文には「プラン・特典・料金・提供時期は地域やアプリやアカウントによって異なる」とある。だからこの記事では、「純正は今も無料で使い放題」とも「有料でしか使えない」とも書かない。確かなのは、純正のAI接客が「使った分だけ払う」と「月額の中に含める」の2本立てで値札を持った、ということだ。

並べる相手のManyChatも、3月に値札が変わっている——月25人・月250人・月2,500人

比べる相手のManyChat(DMの自動返信を、店が自分で設計して動かす道具。SUICSはこの設計と構築を仕事にしている)も、2026年3月2日に料金の形が変わった。9月21日にManyChatの公式ヘルプを開いて確認した数字を書く。ManyChatは「月に何人とDMのやり取りが発生したか」(アクティブコンタクト)で料金が決まる。無料プランは0ドルで月25人まで、動かせる自動返信は4本まで。「Essential」は月17ドル(年払いなら月14ドル)で月250人まで。「Pro」は月39ドル(年払いなら月29ドル)で月2,500人まで、AIが返事を作る機能はこのProから使える。人数を超えた分は、Essentialで1人10セント、Proで1人5セントの追加料金だ。

ここで気づいてほしいのは、純正とManyChatでは「数える単位」が違うことだ。純正の従量課金は「AIが返した通数」で数える。ManyChatは「月にやり取りした人数」で数える。だから、機能の一覧表を横に並べても答えは出ない。自分の店に、月に何人からDMが来て、1人あたり何通のやり取りになるか。この2つの数字を持っている店だけが、どちらが安いかを計算できる。

店主が自分の数字を当てはめる3つの線——月25人、月250人、会話の中身を誰が持つか

9月17日以降の打ち合わせで、実際に店主と一緒に紙に引いた3本の線を書く。上から順に当てはめれば、自分の店がどこにいるかが分かる。

線 01
月25人の線——ここより下なら、どちらも0円で足りる可能性がある。まず数える
最初の線は、月25人。ManyChatの無料プランの上限で、純正のAI接客も6月の発表では「始めるのは無料」だった。月にDMをやり取りする相手が25人に届かない店は、今日の時点では、純正でもManyChatでも0円で試せる可能性が高い。ただし数えていない店がほとんどだ。Instagramのアプリで受信箱を開き、先月1日から月末までにやり取りした相手を上から数える。予約の確認・道案内・営業時間の質問、全部を1人1件で数える。私が打ち合わせで数えてもらうと、「月に10人くらい」と言っていた店が実際は40人だったことが何度もある。逆に、フォロワー3,000人で「DMはたくさん来る」と言う店が、数えると月18人だったこともある。線を引く前に、数える。ここを飛ばすと、この先の2本の線は全部ずれる。
数えるもの
先月DMをやり取りした相手の人数
25人以下
どちらも0円で試せる可能性
やらない
感覚で「多い・少ない」を言う
線 02
月250人の線——「使った分だけ」が「月額」を追い越す場所を、自分の通数で計算する
2本目の線は、月250人。ManyChatのEssentialの上限で、ここまでなら月17ドルの固定だ。一方、純正の「使った分だけ」の値札を当てはめると、1人との会話がAIの返事4通で終わる簡単な問い合わせでも、1人あたり16〜20セント。公式ページの例をそのまま使うと、月50人なら約8〜10ドル、月100人なら約16〜20ドル、月250人なら約40〜50ドルになる。つまり、簡単な問い合わせばかりでも、月100人あたりでManyChatのEssential(17ドル)と並び、それを超えると「使った分だけ」の方が高くなる。込み入った相談が多い店(1人10通・40〜50セント)なら、月40人で追い越す。1ドル150円と置くと、月250人の店で純正の従量は月6,000〜7,500円、ManyChatのEssentialは約2,550円だ。ただしこの計算は、開発者向けの従量の値札を当てはめたもので、アプリの中で無料のまま何通まで返るかは公式に数字がない。だから、この線の使い方は「うちは月何人で、1人何通か」を出して、月額プラン(Meta Oneの14.99ドル〜、ManyChatの17ドル〜)と横に並べることだ。数字を出した店主は、ほぼ全員が「思ったより安い方に決めた」のではなく「思ったより通数が多いことに驚いた」。
計算式
人数 × 1人あたりの通数 × 4〜5セント
追い越す目安
簡単な問い合わせで月100人前後
注意
アプリ内の無料枠は公式に数字なし
線 03
会話の中身を誰が持つかの線——値札より先に決まる、いちばん太い線
3本目は、金額の線ではない。純正のAI接客は、返事の文章をMetaのAIが作る。店ができるのは、店の説明と商品一覧を渡し、人が引き継ぐタイミングを決めることだ。会話の流れ(最初に何を聞き、どの答えなら予約に進み、どの答えなら人に渡すか)を店が1本ずつ設計する道具ではない。ManyChatは逆で、返事の1通目から店が書き、ボタンの並びも、名前や希望日を聞く順番も、店が決める。やり取りした相手には目印(タグ)が付き、集めた名前や連絡先はGoogleスプレッドシートに書き出せる。つまり「お客さんとの会話の中身と、集まった名簿」が店の手元に残る。8月には、Metaが「AI Studio」でのAIキャラ作成を突然終了した(8月30日の記事で書いた)。純正の機能は、無料でも有料でも、Metaの都合で形が変わる。金額の線より上に、「その会話と名簿は、来年も自分の手元にあるか」という線を引く。月250人を超える店ほど、この線が金額の差より重くなる。
純正AI
返事はMetaのAIが作る
ManyChat
流れと1通目は店が書く
問い
会話と名簿は来年も手元にあるか
どちらが安いかは、機能表では決まらない。
先月、何人とDMをしたか、で決まる。
Pay per message, or pay per month
月間DM数で見る「使った分だけ」と「月額」——3本の線の位置
線03 会話の中身と名簿を、来年も自分の手元に持っているか 金額の線より先に決まる、いちばん太い線 月にDMをやり取りした人数(横軸) 0人 25人 100人 250人 それ以上 線01 ここまで両方0円の可能性 線02 ManyChat Essentialの上限 ManyChat(月額・段階) 0ドル Essential 月17ドル(250人まで) Pro 月39ドル〜 純正AI接客(使った分だけ・1人4通のとき) 月100人 ≒ 16〜20ドル 月250人 ≒ 40〜50ドル 1人あたり16〜20セントを積み上げる 出典と前提 Meta開発者向け公式(2026年8月1日〜)とManyChat公式ヘルプ(2026年8月27日更新)。アプリ内の無料枠は公式に数字なし。

美容室で実際に数えた8月の数字——「DMは月10人くらい」が、数えたら68人だった

9月17日の打ち合わせで、福岡の美容室のオーナーと一緒に数えた数字を、そのまま書く。オーナーの見立ては「DMは月10人くらい、ほとんど予約の変更」だった。ManyChatの管理画面で8月1日から31日までを開くと、やり取りが発生した相手は68人。内訳は、リールのコメントに反応して自動で送ったクーポン案内が41人、ストーリーズへの返信から始まった会話が15人、直接届いたDMが12人。68人のうち、予約の日付まで進んだ人は21人だった。オーナーが「10人」と感じていたのは、自分で手を動かして返した12人の方だけだったからだ。残りの56人は自動返信が受けていて、オーナーの体感には入っていなかった。

この68人に、線02の計算を当てた。自動返信のやり取りは、クーポンを送って「使う」ボタンを押してもらうまでで平均3〜4通。純正の従量の値札なら、1人16〜20セントで、月68人はおよそ11〜14ドル。ManyChatは無料の25人を超えているので、Essentialの月17ドル(年払いなら14ドル)。この店では、金額はほぼ並ぶ。決め手になったのは線03だった。41人にクーポンを送った履歴と、そのうち誰が予約まで進んだかの目印は、ManyChatの画面に残っている。オーナーは「この41人の名前がどこかに残っていない仕組みには、戻せない」と言った。金額が並んだとき、会話と名簿を手元に持っている方が残る。

1つ、失敗も書いておく。この美容室は今年の春まで、リールのコメント返信を手作業でやっていて、月に40件前後のコメントのうち、DMまでつなげられたのは月5〜6人だった。数えていなかったので、その5〜6人を「DMの全部」だと思っていた。数え始めたのは、自動返信を入れて管理画面に数字が出るようになってからだ。どちらの道具を選ぶにしても、数字が見える場所に会話を置かないと、線を引くための人数そのものが分からない。

最後に:値札が付いたことは、悪い知らせではない。「無料だから」で放置していた会話を、数え直す合図だ

純正のAI接客に値札が付いたと聞いて、「Instagramが有料になった」と受け取る店主もいる。そうではない。投稿もDMも、これまでどおり無料だ。有料になったのは「AIに返事を作らせる」という追加の仕事の分で、しかもその値札は、通数か月額か、店が選べる形で置かれた。値札が付いたことで初めて、「無料だから」と数えずに放置していたDMの会話に、店主が値段を付けて見る理由ができた。

今週やることは1つ。Instagramの受信箱を開いて、先月DMをやり取りした相手を上から数える。25人より少ないか、250人より少ないか、それ以上か。その数字を持ってから、純正の月額かManyChatの月額か、それとも0円で始められる別の道具かを決める。数える前に決めた店は、数えたあとで必ず引き直すことになる。

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