Notes / Instagram

Instagram自動DMが「1人24時間1通」に。
ManyChatが詰まらない3つの再設計

2026.07.08

月曜朝のZoomで、「2通目のDMだけ届いていない」と言われた

7月最初の月曜日、伴走中のクライアントとの月次Zoomでのこと。画面共有されたManyChatの管理画面を見て、手が止まった。リール用とフィード用、2本走らせているコメント自動DMのうち、あとから発火したほうだけ送信数が極端に落ちている。片方は普段どおり。もう片方はほぼ沈黙。

設定ミスを疑って、フローを30分かけて見直した。キーワード条件、公開範囲、連携状態——どこも壊れていない。壊れていたのは設定ではなく、こちらの「前提」のほうだった。

2026年、Meta(Instagram)はコメントやストーリー起点の自動DMについて、「1ユーザーにつき24時間で1通まで」という新ルールを導入した。同じ人がリールとフィード、2つの投稿にコメントしても、自動DMが届くのは先に発火した1通だけ。「3つの投稿から同じ見込み客に3回DMを届ける」という、これまで当たり前だった撒き方が、仕組みとして成立しなくなった。

今日は、この新ルールで何が変わったのかを整理した上で、ManyChatの導線を「壊れない形」に組み替える3つの再設計を、125社の構築実績から書いていく。

2026年のInstagram自動DM、変わったのは1つじゃない

「1人24時間1通」は単発の変更ではなく、ここ1年で段階的に締まってきた規制の最新ピースだ。時系列で並べると、Metaの意図がはっきり見える。

時期
変更内容
規模
影響する設計
2025年10月
DM送信レートが1時間5,000通→200通へ
96%削減
一斉配信・大量リスト向け配布
2026年4月27日
24時間ウィンドウ外の通知はUtilityテンプレート必須に(旧CONFIRMED_EVENT_UPDATEタグは廃止)
仕様変更
翌日以降のフォローアップ配信
2026年
コメント/ストーリー起点の自動DMが「1ユーザー24時間1通」に
新ルール
複数投稿からの重ね撃ちDM
結論
違反を重ねるアカウントは制限・BANの対象に
撒き型の導線ほど危ない

流れは一貫している。「量で当てる自動DM」を締め出し、「相手が求めた1通」だけを通す方向だ。200通/時の制限については 「Instagram API『200通/時』制限」 の記事で、BANの監視ラインについては 「Instagram自動DMの垢BANライン」 の記事で書いたが、今回の「1人24時間1通」はそれらとは別の階層、つまり1人の見込み客に対する接触回数そのものへの制限になる。

影響を受けるのは、雑に撒いているアカウントほど大きい。逆に言えば、1通の設計が濃いアカウントにとっては、競合の重ね撃ちが消えるぶん追い風でもある。

壊れない導線に組み替える、3つの再設計

冒頭のクライアントの導線は、この後2週間かけて組み替えた。やったことは大きく3つ。どれもManyChatの画面上で今日から着手できる。

Redesign 01
「2通目がある前提」を捨て、1通で完結させる
最初の1通に、特典・リンク・次の一歩まで全部載せる
これまでの定石は「1通目で挨拶→2通目で特典→3通目で案内」という小刻み配信だった。24時間1通の世界では、この設計は2通目から先が存在しないのと同じになる。だから最初の1通に、特典の受け取りリンク、次にやってほしい行動、返信を促すボタンまでを1画面に収める。長くなりそうなら、DMに全部書くのではなく「受け皿となるLPや特典ページへ1タップで渡す」構造にして、DMは入口に専念させる。
Before
3通に分けて配信
After
1通+受け皿ページ
効果
未達リスクほぼ消滅
Redesign 02
続きは「相手の返信」を起点に送る
こちらから重ねず、相手に1タップしてもらってから続ける
制限がかかるのは「こちらから起点で送る自動DM」だ。相手がボタンを押す、クイックリプライで答える、メッセージを返す——こうした相手発のアクションがあれば、会話の24時間ウィンドウが開き、その中で続きのメッセージを届けられる。つまりフォローアップを「翌日にこちらから送る」設計から、「1通目の中に、相手が押したくなる選択肢を置く」設計へ変える。24時間を過ぎた後の再接触が必要な場合は、Utilityテンプレートなど規約に沿った手段に限定する。
Before
翌日こちらから追撃
After
返信起点で会話継続
効果
規約内で接触を維持
Redesign 03
投稿ごとのDMをやめて、受け皿フローを1本に束ねる
どの投稿から来ても、同じ1本のフローに合流させる
投稿Aには特典a、投稿Bには特典b——と投稿ごとに別のDMフローをぶら下げる設計は、同じ人が複数の投稿にコメントした瞬間に「届かないDM」を量産する。組み替えるなら、入口(トリガー)は投稿ごとに分けたまま、その先の本体フローを1本に統合する。誰がどの入口から来ても、24時間以内の重複送信をフロー側で判定して止められるし、計測も1本にまとまる。冒頭のクライアントはこの統合で、送信エラーがほぼゼロになり、DM経由の特典受け取り率はむしろ以前より上がった。
Before
投稿ごとに別フロー
After
受け皿1本に合流
効果
重複送信を構造で防止
規約変更は、雑な導線をふるい落とす「ふるい」。
1通で刺さる設計だけが、残って届く。
Before / After
「撒き型」から「1通完結型」へ、導線の組み替え
BEFORE 撒き型(もう届かない) 投稿A・B・C それぞれにDM設定 同じ人に 2通目・3通目を送信 24時間1通制限でブロック 未達・警告・BANリスク AFTER 1通完結型(生き残る設計) 入口は投稿ごと、フローは1本 1通に特典+リンク+ボタン 受け皿ページへ1タップ 相手の返信でウィンドウ更新 会話が規約内で続く KEY POINT 接触「回数」で勝負する時代の終わり。 最初の1通の「密度」で勝負する時代へ。

冒頭のクライアントで実際にやった、見直しの順番

「3つの再設計はわかった。で、何から手を付ければいいのか」。冒頭のクライアントと組み替えを進めたときの実際の順番を、そのまま書いておく。

最初にやったのは、修正ではなく棚卸しだ。ManyChatのオートメーション一覧を開いて、「起点が投稿コメントまたはストーリー返信のフロー」をすべて書き出す。このクライアントの場合、過去のキャンペーンで作ったまま止め忘れていたフローが2本見つかった。動いている自覚のないフローほど、24時間1通の枠を先に消費して、本命のDMを沈黙させる。犯人はたいてい、忘れられた古いフローだ。

次に、書き出したフローを「今も売上につながっている入口」と「惰性で残っている入口」に仕分けした。残すのは前者だけ。ここで数を絞れば絞るほど、1通の枠が本命に回る。彼女の場合、7本あったコメントDMは3本まで減らし、その3本の行き先を1本の受け皿フローに統合した。

最後に、統合した受け皿の1通目を作り直した。以前は「コメントありがとうございます」だけの挨拶DMだったが、特典リンク・次の行動・質問ボタンの3点セットを1通に収めた。ここまでで約2週間。組み替え後の1ヶ月で送信エラーはほぼゼロになり、DM経由の特典受け取り率は組み替え前を上回った。接触回数が減っても、1通の密度が上がれば結果はむしろ良くなる。これが現場で確認できた一番の収穫だった。

「規約が厳しくなった」は、作り込む側には追い風

この手の規約変更のたびに「自動DMはもう終わりですか」と不安になる方は多いと思う。125社の構築現場から見える答えは逆で、終わるのは自動DMではなく、雑な自動DMだ。

考えてみてほしい。受け取る側にとって、同じアカウントから24時間に3通も4通も届くDMは、ほぼ迷惑メールと同じ体験だった。Metaはそれを仕組みで止めただけで、「コメントしてくれた人に、求められた1通を確実に届ける」という導線の価値はまったく損なわれていない。むしろ競合の重ね撃ちが物理的に消えるので、丁寧に作られた1通の相対価値は上がる

ただし、既存のフローを放置したままだと話は別だ。届かない2通目・3通目が溜まり続ける状態は、単に機会損失というだけでなく、アカウント制限やBANの引き金にもなり得る。7月の今のうちに、自分のManyChatに「同じ人へ24時間以内に2通以上送る経路」が残っていないか、一度洗い出しておくことをおすすめする。

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