月曜朝のZoomで、「2通目のDMだけ届いていない」と言われた
7月最初の月曜日、伴走中のクライアントとの月次Zoomでのこと。画面共有されたManyChatの管理画面を見て、手が止まった。リール用とフィード用、2本走らせているコメント自動DMのうち、あとから発火したほうだけ送信数が極端に落ちている。片方は普段どおり。もう片方はほぼ沈黙。
設定ミスを疑って、フローを30分かけて見直した。キーワード条件、公開範囲、連携状態——どこも壊れていない。壊れていたのは設定ではなく、こちらの「前提」のほうだった。
2026年、Meta(Instagram)はコメントやストーリー起点の自動DMについて、「1ユーザーにつき24時間で1通まで」という新ルールを導入した。同じ人がリールとフィード、2つの投稿にコメントしても、自動DMが届くのは先に発火した1通だけ。「3つの投稿から同じ見込み客に3回DMを届ける」という、これまで当たり前だった撒き方が、仕組みとして成立しなくなった。
今日は、この新ルールで何が変わったのかを整理した上で、ManyChatの導線を「壊れない形」に組み替える3つの再設計を、125社の構築実績から書いていく。
2026年のInstagram自動DM、変わったのは1つじゃない
「1人24時間1通」は単発の変更ではなく、ここ1年で段階的に締まってきた規制の最新ピースだ。時系列で並べると、Metaの意図がはっきり見える。
流れは一貫している。「量で当てる自動DM」を締め出し、「相手が求めた1通」だけを通す方向だ。200通/時の制限については 「Instagram API『200通/時』制限」 の記事で、BANの監視ラインについては 「Instagram自動DMの垢BANライン」 の記事で書いたが、今回の「1人24時間1通」はそれらとは別の階層、つまり1人の見込み客に対する接触回数そのものへの制限になる。
影響を受けるのは、雑に撒いているアカウントほど大きい。逆に言えば、1通の設計が濃いアカウントにとっては、競合の重ね撃ちが消えるぶん追い風でもある。
壊れない導線に組み替える、3つの再設計
冒頭のクライアントの導線は、この後2週間かけて組み替えた。やったことは大きく3つ。どれもManyChatの画面上で今日から着手できる。
1通で刺さる設計だけが、残って届く。
冒頭のクライアントで実際にやった、見直しの順番
「3つの再設計はわかった。で、何から手を付ければいいのか」。冒頭のクライアントと組み替えを進めたときの実際の順番を、そのまま書いておく。
最初にやったのは、修正ではなく棚卸しだ。ManyChatのオートメーション一覧を開いて、「起点が投稿コメントまたはストーリー返信のフロー」をすべて書き出す。このクライアントの場合、過去のキャンペーンで作ったまま止め忘れていたフローが2本見つかった。動いている自覚のないフローほど、24時間1通の枠を先に消費して、本命のDMを沈黙させる。犯人はたいてい、忘れられた古いフローだ。
次に、書き出したフローを「今も売上につながっている入口」と「惰性で残っている入口」に仕分けした。残すのは前者だけ。ここで数を絞れば絞るほど、1通の枠が本命に回る。彼女の場合、7本あったコメントDMは3本まで減らし、その3本の行き先を1本の受け皿フローに統合した。
最後に、統合した受け皿の1通目を作り直した。以前は「コメントありがとうございます」だけの挨拶DMだったが、特典リンク・次の行動・質問ボタンの3点セットを1通に収めた。ここまでで約2週間。組み替え後の1ヶ月で送信エラーはほぼゼロになり、DM経由の特典受け取り率は組み替え前を上回った。接触回数が減っても、1通の密度が上がれば結果はむしろ良くなる。これが現場で確認できた一番の収穫だった。
「規約が厳しくなった」は、作り込む側には追い風
この手の規約変更のたびに「自動DMはもう終わりですか」と不安になる方は多いと思う。125社の構築現場から見える答えは逆で、終わるのは自動DMではなく、雑な自動DMだ。
考えてみてほしい。受け取る側にとって、同じアカウントから24時間に3通も4通も届くDMは、ほぼ迷惑メールと同じ体験だった。Metaはそれを仕組みで止めただけで、「コメントしてくれた人に、求められた1通を確実に届ける」という導線の価値はまったく損なわれていない。むしろ競合の重ね撃ちが物理的に消えるので、丁寧に作られた1通の相対価値は上がる。
ただし、既存のフローを放置したままだと話は別だ。届かない2通目・3通目が溜まり続ける状態は、単に機会損失というだけでなく、アカウント制限やBANの引き金にもなり得る。7月の今のうちに、自分のManyChatに「同じ人へ24時間以内に2通以上送る経路」が残っていないか、一度洗い出しておくことをおすすめする。