Notes / Instagram Marketing

【2026年最新】
Instagram DMが「編集できる時代」へ

2026.07.04

「木曜7時」と送った12分後、スマホを持つ手が止まった

6月の最終週、Zoom打ち合わせの合間だった。構築サポート中の整体院のアカウントで、予約希望のお客さんに日程を返す手動DM。「木曜17時でご案内できます」と打ったつもりが、送信ボタンを押したあとに見返すと「木曜7時」になっていた。1が消えていた。

気づいたのは送信の12分後。慌てて「先ほどのメッセージ、正しくは17時です。失礼しました」と訂正を送った。お客さんからは「わかりました」と返ってきたが、画面の向こうで一瞬「ん?」という間があったのが、既読のタイミングでわかった。たった1文字の打ち間違いが、予約1件ぶんの信頼をわずかに削る。DMを商談窓口にしている店舗なら、この冷や汗に覚えがあるはずだ。

その数日後、Instagramの公式発表を見て手が止まった。DMが、送信後15分以内なら編集できるようになったのだ。あの日の「木曜7時」は、訂正メッセージを重ねなくても、静かに「木曜17時」に直せたことになる。あわせて、重要な会話を受信箱の上部に固定する「ピン留め」も追加された。今日は、この2つの新機能を店舗・個人事業主のDM運用にどう組み込むかを、ManyChat125社の構築現場の視点から書いておきたい。

何が変わったのか——15分の編集と、受信箱の指定席

今回のアップデートの中身は2つ。1つ目はメッセージ編集。送信後15分以内であれば、送ったDMの文面をあとから直せる。価格の桁、日時、場所の名前——商売のDMでいちばん怖い「数字と固有名詞の打ち間違い」に、15分間の保険がかかった。

2つ目はピン留め。特定の会話を受信箱の最上部に固定できる機能だ。DMが1日に数十件届くアカウントでは、3日前に「検討します」と言ったまま止まっている商談が、新着の波に沈んで見えなくなる。ピン留めは、その「今いちばん大事な会話」に受信箱の指定席を与える機能と言っていい。

もう1つ、見落とせない周辺の変化がある。2026年5月に登場した新アプリ「Instants」では、投稿へのコメントが自動的にDMとして届く仕様になっている。つまりこれからの受信箱には、従来のDMに加えてコメント由来のメッセージまで流れ込んでくる。Instantsの仕様と集客上の注意点は 「Instagram Instantsで集客できない理由」 の記事に書いた通りだが、受信箱が混みあう方向に世界が動いているのは間違いない。

ここで立ち止まりたいのは、「編集できるようになったから安心」ではない、ということだ。15分を過ぎた誤送信は直せないし、相手が通知で最初の文面を読んでいれば、間違いの記憶は残る。編集機能は保険であって、事故を減らす本体の設計は別にある。125社のDM動線を組んできた立場から言うと、本体の設計とは「間違えてはいけない情報を、そもそも人間に打たせないこと」だ。ここから、具体的な3つの設計に落とす。

誤送信と見落としを防ぐ、自動×手動の切り分け3設計

新機能を「便利になったね」で終わらせず、DM運用のルールに変換する。SUICSが構築現場でクライアントに渡している切り分けを、3つの設計として公開する。

Design 01
間違えてはいけない情報は、自動DMの領域に寄せる
価格・営業時間・場所・予約リンク=テンプレートが送る
自動DMは打ち間違えない。一度正しく設定した価格表・営業時間・地図リンク・予約フォームは、深夜でも連休中でも、1文字も違わずに送られ続ける。あの日の自分の「木曜7時」は、人間がスマホで数字を打ったから起きた事故だ。逆に、コメントやキーワードに反応して送られる自動DMのメニュー案内で、桁を間違えた例を125社で一度も見たことがない。まず、自分のアカウントで過去1ヶ月に手動で送ったDMを見返して、「毎回同じことを打っている情報」に印をつける。その印がついた情報は、全部自動DMの領域に移す。人間の指から数字を取り上げることが、編集機能より先にやるべき誤送信対策になる。
自動に寄せる
価格・時間・場所
理由
機械は打ち間違えない
効果
誤送信の母数が減る
Design 02
手動DMには「送信後の3点見直し」をルール化する
数字・日付・名前——15分の保険が効くうちに確認する
自動に寄せたあとに残る手動DMは、個別の相談への返信、症状や要望のヒアリング、商談の詰めといった「人間の温度が必要な会話」だ。ここに15分編集を組み込む。ルールはシンプルで、送信したら送りっぱなしにせず、その場で自分のメッセージを読み返して「数字・日付・人の名前」の3点だけ確認する。所要は10秒。間違いを見つけたら、15分の保険が効くうちに静かに直す。15分を過ぎて気づいた場合は、編集をあきらめて訂正メッセージを送ればいい。大事なのは、確認のタイミングを「送信直後」に固定することだ。人は送った直後がいちばん確認を怠る。編集機能は、この10秒の習慣とセットになって初めて保険として機能する。
確認する3点
数字・日付・名前
タイミング
送信直後の10秒
15分超過時
訂正メッセージ
Design 03
ピン留めは「お金が動いている会話」専用にする
商談中・予約調整中・トラブル対応中——上限は5件まで
ピン留めを「大事そうな会話をなんとなく固定する場所」にすると、1週間で指定席が満員になって機能しなくなる。おすすめは用途を3つに絞ることだ。見積や日程を詰めている「商談中」、日時が確定していない「予約調整中」、返答を待たせてはいけない「トラブル対応中」。この3種類だけをピン留めし、上限は5件と決める。会話が完了したら、その場でピンを外す。こうすると受信箱を開いた瞬間に「今日返すべき会話」が最上部に並ぶ。自動DMが一次対応を捌き、コメント由来のメッセージが流れ込んでくるこれからの受信箱では、「人間が追うべき会話」を機械的に浮かせておく仕組みの価値がさらに上がる。
ピン留め対象
商談・調整・対応
上限
5件まで
完了したら
その場で外す
自動DMは間違えない。
人間のDMは間違える。
だから「何を人間に打たせるか」を設計する。
DM Operation Map
自動DMと手動DM、任せる領域の切り分けマップ
自動DMの領域 NEVER MAKES TYPOS ・価格表・メニューの案内 ・営業時間・場所・地図リンク ・予約フォームへの誘導 ・特典・クーポンの配布 ・コメントへの一次対応 → 毎回同じ内容=機械に任せる 手動DMの領域 HUMAN TOUCH ・個別の相談への返信 ・症状・要望のヒアリング ・商談・見積の詰め ・お詫び・トラブル対応 ・常連さんとの雑談 → 温度が必要=人間が書く 15分編集 = 手動DMの保険 送信直後に数字・日付・名前を見直す ピン留め = 商談の指定席 お金が動いている会話だけ、上限5件 AUTO × MANUAL

受信箱が「混む」時代に、切り分けの価値が上がる

今回の2機能を、単発の便利機能として見るか、流れの一部として見るかで打ち手が変わる。Instagramはこの1年、拡散の評価指標を保存からDM送信数へ動かし(詳しくは 「Instagram拡散指標が『DM送信数』へ」 の記事)、Instantsではコメントまで受信箱に流し込むようになった。つまり、Instagramというプラットフォーム全体が、あらゆる接点をDMに集める方向に動いている。編集とピン留めは、その混雑する受信箱を捌くために用意された道具だと読むのが自然だ。

受信箱に流れ込む量が増えるほど、全部を人間の指で返す運用は破綻する。かといって全部を自動にすると、会話が冷たくなって商談が育たない。ManyChatの自動応答が冷たく見える設定と直し方は 「DM自動返信が冷たく見える3つの設定」 に書いたが、結局のところ勝負を分けるのは、自動と手動の境界線をどこに引くかという設計だ。境界線が正しければ、自動DMが正確さを担保し、人間は温度が必要な会話に集中でき、その会話はピン留めで見失わない。誤送信の冷や汗も、商談の放置も、仕組みで消せる。

「うちのDM、どこまで自動にできる?」と思ったら

切り分けの考え方はここまでで全部書いた。ただ、実際に自分の業種でやろうとすると、「予約の日程調整は自動と手動のどっちに置くのか」「コメントの一次対応はどう組むのか」といった境界線の判断で手が止まりやすい。この境界線は業種と客層で変わるので、125社ぶんの前例を持っている人間に聞くのが早い。

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最後に:15分の保険より、間違えない仕組み

「木曜7時」を送ったあの日の自分に教えるなら、こう言う。編集機能を待つより先に、日程候補を自動DMのテンプレートに入れておけ、と。新機能はありがたい。でも、いちばん確実な誤送信対策は、15分以内に直すことではなく、間違える機会そのものを設計で減らすことだ。

今日の帰り、自分のアカウントの受信箱を開いて、2つだけやってみてほしい。過去1ヶ月の手動DMを見返して「毎回同じことを打っている情報」を探すこと。そして、止まっている商談の会話をピン留めすること。この2つだけで、来週のDM運用は目に見えて変わるはずだ。

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