Zoomで画面共有中、見慣れないメニューが目に入った
先週、あるサロンオーナーとのZoomで、相手のInstagramアプリを画面共有してもらいながら投稿設定を一緒に触っていた。設定メニューを下へスクロールしていったとき、これまでなかった項目が目に入って手が止まった。「自動化(Automations)」。プロアカウントの設定の中に、Instagram純正のメニューとして並んでいた。
中を開くと、コメントへの自動返信、キーワードを含むDMの検知、ストーリーへの返信をきっかけにした反応——これまで自分がManyChatで一つずつ組み上げてきたものと、名前がよく似た機能が、アプリの中に最初から用意されていた。オーナーがぽつりと言った。「これ、無料で付いてるなら、ManyChatって要らなくなるんですか?」
この質問は、これから半年で全国の店舗オーナーの口から出てくる。ManyChatを125社に組んできた立場として、ここは正直に線を引いておきたい。純正で足りる人は純正でいい。ManyChatが要る人には、要る理由がある。今日は、その見分け方と、純正から入って詰まったときの現実的なルートを書く。
何が起きたのか:外部ツールの仕事の一部が、アプリの中に入ってきた
まず事実を整理する。Instagramは、メッセージまわりのリード検知をまとめて管理する「自動化(Automations)」というセクションを、アプリ内に追加した。ここで扱えるのは、コメントがついたら自動でDMを送る動線、特定のキーワードを含むメッセージの検知、ストーリーへの返信をきっかけにした反応、そしてDMの中でメールアドレスを受け取ってリードとして保存する、といった機能だ。これまでManyChatをはじめとする外部ツールが担ってきた仕事の"入口部分"が、純正で動く方向に動き出した。
加えて、フォローしてくれた相手に自動であいさつDMを送る「Follow-to-DM」のトリガーも、2026年にMetaから正式に承認された。つまり、フォロー・コメント・ストーリー返信という、店舗が毎日触れる3つの入口に対して、純正のあいさつ・返信を差し込めるようになったということだ。ここだけを見ると、オーナーの「もう要らないのでは」という感覚は自然に出てくる。
ただ、ここで一つ大事な区別がある。今回純正化されたのは、あくまで「反応を1つ返す」ところまでだ。誰が反応したかをタグで仕分けし、次に別の一手を打ち、リストとして資産に積み上げていく——その先の「設計」の部分は、まだ外部ツールの領域として残っている。この境界線がどこにあるかを知らずに純正だけで止まると、せっかく集めたフォロワーを、あいさつを返しただけで取りこぼすことになる。
3つの軸で、純正で足りるか・ManyChatが要るかを見分ける
「純正 vs ManyChat」は、どちらが優れているかという話ではない。自分のビジネスが、入口で1つ反応を返せば足りるのか、それとも反応の先に導線を積みたいのかで、答えが変わる。ここから、その見分けを3つの軸で示す。自分の業種を思い浮かべながら、どちらに寄るかを当てはめてほしい。
奪えなかったのは「反応した人を資産に変える」設計。
純正とManyChatの境界線は、いつもそこに引かれる。
現実的な答え:純正で始めて、詰まったらManyChatへ
ここまで読んで気づいた人もいると思うが、「純正 か ManyChat か」という二択で考える必要はない。順番の問題だ。まだ導線を1本も作っていない店舗が、いきなり有料ツールから入る必要はない。まず純正の自動化で、コメント→DMの入口を1本だけ作る。フォロワーがコメントし、DMが自動で届き、そこから予約や問い合わせが1件でも生まれる——この「反応が返ってくる」感覚を先に体験するのが正しい入り方だ。純正化された今、ここはお金をかけずに試せる。
そのうえで、運用していくと必ず「純正だと届かない壁」が来る。「この人には別の案内を送りたい」「反応した人だけ後日まとめて配信したい」「投稿ごとにバラバラの入口を1つにまとめたい」。この壁に当たったら、それがManyChatへ移すサインだ。125社を組んできて分かったのは、うまくいく店舗ほどこの順番を守っているということ。最初から全部を組もうとして力尽きるより、純正で入口の手応えを得てから、資産化の部分だけをManyChatに任せるほうが、結局早く売上につながる。ManyChat側の料金や機能の変化は「ManyChatのAI機能が月29ドルの別料金に」の記事も参照してほしい。
「うちは純正で足りる?ManyChatが要る?」を一緒に見極めたいなら
ここまでの3つの軸を読んで、「理屈はわかったけど、自分の店だとどっちなのかは正直まだ判断できない」と感じた人は多いと思う。それは当然で、この見分けは自分の投稿の入口の数・売りたい商品の種類・お客さんを育てたいかどうかを棚卸ししないと当てはめられないからだ。逆に言えば、そこさえ整理すれば、純正で足りるか・ManyChatが要るかは機械的に決まる。
SUICSのManyChat構築では、まず御社のInstagram運用を洗い出して、「どんな入口から人が来ているか」「反応した人に何を送りたいか」「後から育てて売上にしたい商品があるか」を一緒に整理する。そのうえで、純正の自動化で足りる部分はそのまま純正で組み、資産化が必要な部分だけをManyChatで設計する。純正でできることまで有料ツールで抱え込ませない——これが125社を組んできた立場からの、いちばん無駄のない進め方だ。作って終わりではなく、実際にフォロワーがリストに積み上がるところまで並走する。