海の日の三連休明け、38人の新規フォロワーに届いたメッセージはゼロだった
7月21日の火曜、朝7時前。佐賀のいつものカフェで、あるクライアントのInstagramインサイトをスマホで開いた。前の週末は海の日の三連休で、そのアカウントには金曜から月曜までのあいだに新しいフォロワーが38人ついていた。数字だけ見れば、悪くない週だ。
ところが、その38人に届いたメッセージは、ゼロだった。フォローという、その人がいちばん興味を持ってくれた熱い瞬間に、こちらからは何の接点も生まれないまま、三日間が過ぎていた。38人のうち何人かは、もう投稿を見なくなっているだろう。フォローボタンを押した理由も、たぶん忘れている。
この「フォローされた瞬間に何も起きない」問題は、Instagram集客の現場でずっと放置されてきた穴だった。コメントには自動DMを仕込めても、フォローそのものを起点に全員へあいさつを送る手段が、長いあいだ実用的ではなかったからだ。
その穴を埋める機能が、いま動き出している。ManyChatが「新規フォロワー全員に自動あいさつDMを送る」機能をベータで出してきた。ただし手放しでは喜べない。Metaが課した「週1通」という制限が、この機能の使い方を根本から変えるからだ。今日はこの制限を敵ではなく味方にする、初回DMの設計を3つ書いておきたい。
何が変わったのか|「フォロー=あいさつDM」がボタンひとつに
ManyChatが追加したのは、新しくフォローしてくれた人に対して、自動でウェルカムDMを即送信できる機能だ。「Follow to DM」や「Say Hi to New Followers」といった名前で呼ばれている。仕組みはシンプルで、フォローというアクションそのものが引き金になり、あらかじめ用意しておいた1通目が自動で相手のDMに届く。
これまで新規フォロワーへの初回接触は、こちらから手作業でDMを送るか、フォロー御礼の投稿を見てもらえるのを待つしかなかった。フォロワーが1日に何十人も増えるアカウントでは、全員に手でメッセージを送るのは現実的ではない。だから多くの店舗や個人事業主は、いちばん熱い瞬間を取りこぼしてきた。この機能は、そこを自動化する。
ただし、今の時点でおさえておくべき条件が3つある。順番に見ていく。
1つ目は、まだベータで全アカウントに開放されていないこと。誰が先に使えるかはMeta側が決めるため、自分のアカウントに機能が出るのを待つ期間がある。裏を返せば、開放される前の今こそ、送る1通目の内容とオファーを仕込んでおける準備期間だ。
2つ目が、いちばん重要な制限。フォロー起点の初回DMは、全アカウント合計で1ユーザーにつき週1通までとMetaが上限を設けている。あるユーザーが今週すでに別のアカウントからフォローあいさつDMを受け取っていたら、あなたのアカウントからの1通は届かない可能性がある。つまり撃てる弾は、相手ごとに週にたった1発。ここを雑に使うと、貴重な初回接触を無駄撃ちしてしまう。
3つ目は料金体系。ManyChatは料金改定でコンタクト(連絡先)の数に応じた課金へ移行しており、無料で使えるのは25コンタクトまで。フォロワーが増えてリストが太るほど、月額もリスト規模に応じて上がっていく。無料の範囲で試すには早めに、有料に切り替えるなら「1通の質」で回収する前提で設計する必要がある。
だからこの機能で勝敗を分けるのは、
送る量ではなく「1通目の設計」だ。
「週1通」は制約ではなく、設計者への追い風になる
週1通と聞くと、多くの人は「少ない」「使いにくい」と感じる。だが125社の構築現場から見ると、この制限はむしろ質の低い運用をふるい落とす追い風だ。理由は2つある。
ひとつは、大量に撒く運用が最初から封じられていること。フォロー御礼を装って毎回同じ売り込みを送りつける、いわゆる撒き型のスパム運用は、週1通ではそもそも成立しない。丁寧に1通を設計した人だけが成果を出せる構造になっている。これは、地道にリストを育ててきた店舗や個人事業主に有利に働く。
もうひとつは、「初回の1通」に全神経を集中させられること。週に何通も送れるなら、1通あたりの重みは薄れ、雑になる。週1通しかないと決まっていれば、その1通に何を書くか、どこへ導くかを本気で考えるしかない。制限が、設計の質を強制的に引き上げてくれる。
ここからは、その1通目をどう組むか。無駄撃ちを避け、週1発を確実にリスト化と会話につなげる初回DM設計を3つ紹介する。ベータが自分のアカウントに来る前に、そのまま準備しておける形で書く。
開放を待つあいだにやっておく、たった1つの準備
この機能はまだベータで、自分のアカウントにいつ来るかは読めない。だが、来てから慌てて1通目を書くのと、来る前に磨き込んだ1通を用意しておくのとでは、初動がまったく変わる。開放されたその日から、38人の新規フォロワーに「無駄撃ちにならない1通」を届けられる状態にしておきたい。
やっておく準備はシンプルだ。上の3設計に沿って、初回あいさつDMの1通目を作り、Design 03の2択問いかけまで含めて完成させておくこと。それだけで、機能が来た瞬間に主導権を握れる。フォロー起点と別トリガーの役割分担も、この機会に一度整理しておくと、リスト全体の設計が締まる。
フォロー起点DMを自然に見せる初回設計は 「ManyChat Follow to DM|自然に見せる初回設計」 記事、1人につき届く回数の制限を踏まえた再設計は 「Instagram自動DMが『1人24時間1通』制限に」 記事もあわせて読んでほしい。会話ウィンドウを開く発想は、こちらの制限とも地続きだ。
「うちのアカウントで、初回の1通をどう設計すべきか」と迷ったら
週1通という制限があるからこそ、初回DMは業種によって正解が変わる。飲食店なら来店のきっかけになる一言、コスメや物販なら失敗しない選び方の入口、コーチや士業なら小さな相談への扉——同じ「はじめまして」でも、その先の設計はまるで違う。ここを外すと、せっかくの週1発が空振りに終わる。
SUICSのManyChat構築では、フォロー起点・コメント起点・ストーリー起点の役割を業種に合わせて切り分け、それぞれのトリガーに「何を送り、どこへ導くか」を設計する。125社の構築で見てきたのは、機能を入れることより、この動線の設計で成果が決まるという現実だ。新機能を、ただの通知ではなく資産を積み上げる入口に変えたい人は、動線ごと相談してほしい。