佐賀のカフェで、クライアントがインサイト画面を僕に向けた
6月初旬、佐賀市内のカフェ。ManyChat構築を担当している整体院オーナーと打ち合わせをしていたら、彼が無言でスマホをこちらに向けてきた。画面はInstagramのインサイト。「先月から、リーチがガクッと落ちてるんです。投稿の本数も時間帯も変えてないのに」。
差し出された折れ線グラフは、確かに右肩下がりだった。フォロワーは毎月じわじわ増えている。なのに1投稿あたりのリーチは、前の月より2割近く減っている。投稿は届く相手がいるのに、その相手に届いていない。彼の戸惑いは、数字に正直だった。
その場でアイスコーヒーを片手に、僕は最近のデータをまとめたメモを開いた。2026年前半、Instagramの平均オーガニックリーチは約18%低下している。そして、いま起きているのはただのリーチ減ではない。フィードに表示される投稿の構成そのものが、静かに塗り替わっていた。
今日は、彼に説明したことを記事として残しておく。リーチが落ちた理由と、それでも売上を伸ばすための「届いた人を資産化する」3つの設計。フォロワー数を追いかける戦い方が、もう通用しなくなったという話だ。
「フォロワーに届く」前提が、48%のおすすめ枠に押し出された
まず、何が変わったのか。2026年前半のデータで、フィードに表示される投稿の約48%が「おすすめ(suggested)」枠になった。これはフォローしていないアカウントの投稿が、半分近くを占めるようになったということだ。
裏を返せば、自分の投稿も「フォロワーのフィード」より「フォローしていない人のおすすめ枠」で見られる比率が増えている。フォロワー1,000人に投稿を届ける時代から、おすすめ枠に乗って一見さんの前に表示される時代へ。土俵が変わった。
もう一つ、地味だが見逃せない変化がある。非フォロワーへの拡散において、「DM送信数(シェア)」が「いいね」の3〜5倍重く評価されるようになった。投稿を見た人がそれを誰かにDMで送る——この行動が、おすすめ枠に乗るかどうかの強いシグナルになっている。
具体的な目安はこうだ。リーチに対するDM送信率が1〜2%あれば良好、3%を超えると強い拡散シグナルとして扱われる。いいねを集める投稿より、「思わず誰かに送りたくなる投稿」のほうが遠くまで飛ぶ。評価の物差しが、表示回数から「行動の質」へ移った。
この変化を、僕はその場でこう言い換えた。「これまでは、いいねという『軽い反応』を集める競争でした。これからは、DMで送るという『重い行動』を起こさせる競争です」。整体院オーナーは少し黙ってから、「たしかに、自分が誰かに送るときって、よっぽど役に立つ投稿だけですね」とつぶやいた。送る側の心理を想像すれば、何を投稿すべきかは自然と見えてくる。フォロワー数という見栄えの数字を追いかけている間に、本当に評価される行動は、もっと地味で具体的なところへ移っていた。
整体院オーナーが見ていたリーチ減は、彼の投稿が悪くなったからではない。ルールが変わったのに、戦い方が前のままだっただけだ。だから打ち手も変わる。「フォロワーをもっと増やす」ではなく、「おすすめ枠に乗せて、届いた一見さんを取りこぼさず資産に変える」方向へ舵を切る。ここからが本題だ。
届いた人を資産化する、3つの設計
リーチが減る時代に強いアカウントは、共通して「届いた一瞬」を逃さない仕組みを持っている。ManyChat構築で125社を見てきた中で、効果が安定している3つの設計を順番に書く。
でも、DMでつながった一人は消えない。
届いた瞬間を「資産」に変えられるかどうか。
リーチ減は「危機」ではなく、仕組みを持つ人への追い風
リーチが18%減ったというニュースは、フォロワー数に頼ってきた人にとっては痛い。でも、届いた人をリスト化する仕組みを持っている人にとっては、むしろ追い風だ。なぜなら、リーチが減るほど広告費は上がり、一度つながった見込み客に直接届けられる「自分のリスト」の価値が相対的に上がるからだ。
整体院オーナーのアカウントは、この3つの設計を入れてから、フォロワーの増減に一喜一憂しなくなった。投稿がおすすめ枠でどれだけ伸びても、最終的に残るのはDMリストの人数だと分かったからだ。リーチのグラフではなく、リストの積み上がりを見るようになった。指標が変われば、毎日の打ち手も静かに変わる。
投稿の拡散指標そのものを深掘りした 「Instagram拡散指標が『DM送信数』へ|対策3つ」 や、口コミを仕組みにする 「Instagramメンション戦略で口コミを仕組み化する3つの設計」 も、この資産化の流れと地続きの話だ。
「届いた人を取りこぼさない仕組みを組みたい」と思ったら
今日の3つの設計は、整体院でも、美容室でも、ECでも、士業でも、土台は同じだ。投稿で届いた一見さんをコメント起点でDMリストに変え、何度も接触して売上に育てる。違うのは「どんな特典で連絡先と交換するか」「何通でどう温めるか」という業種ごとのチューニングだけ。
SUICSのManyChat構築では、まず御社の投稿とお客様の流れを見て、どの投稿を入口にするか、どんな自動DMで一見さんを取りこぼさないかを一緒に設計する。125社の構築で見てきた「うまくいく導線」と「途中で詰まる導線」の差を、最初から避けて組める。フォロワー数を追いかける運用から、リストを積み上げる運用へ切り替えたい人向けの仕組みだ。
大事なのは、3つの設計を一度に全部やろうとしないこと。まずDesign 02のコメント起点の自動DMを1本だけ作り、一見さんがリストに変わる感覚をつかむ。次に、その投稿をDesign 01の「送信されやすい型」に作り替える。最後にDesign 03で後追いの接触を足す。順番に積み上げれば、特別な広告予算がなくても、フォロワーの増減に振り回されない集客の土台ができる。リーチが落ちたという同じニュースを、危機として受け取るか、仕組みを持つ側に回る合図として受け取るか。その差が、半年後のリスト人数に表れる。
まずは、いまのアカウントのどこで一見さんを取りこぼしているかを見るところから始められる。導線が冷たく見えないDMの作り方は 「ManyChat Follow to DM|自然に見せる初回設計」 も参考にしてほしい。